顧客の潜在化した課題を浮き彫りにしてアプローチする営業手法を「インサイトセールス」といいます。顧客の抱える課題に対して解決策を示す「ソリューション営業」の延長とされています。

今回は、新たな営業スタイルとして注目されているインサイトセールスとはどんな営業スタイルなのか、これまでの営業スタイルとともにご紹介します。

適切な営業スタイル確立のために知っておきたい2つのスタイル

業績を上げるには適切な営業スタイルを確立させることです。営業スタイルを確立させるためにはどんな特徴があるのか知らなければいけません。ここでは、2つの営業スタイルの特徴を紹介します。

1. 営業から顧客に商談をもちかける「アウトバウンド営業」

アウトバウンド営業(アウトバウンドセールス)とは商品を販売する側から顧客に対して商談をもちかける営業スタイルです。今でも多くの企業で行われていますが、昔ほど活発というわけではありません。

アウトバウンドセールスのメリットは多くの顧客に対して抜け目なく自社の商品やサービスを知ってもらえるという点です。一方、デメリットは売上や成果に繋がりにくいという点です。

営業マンの中には電話をかけても話すら聞いてもらえなかった経験が一度や二度あるのではないでしょうか。アウトバウンド営業は時代遅れと言われていますが、今でも多くの企業で行われています。しかし、アウトバウンド営業のあり方は時代とともに変化し、アウトバウンド一本という営業スタイルはなくなりつつあるでしょう。

2. 顧客から営業へ商談をもちかける「インバウンド営業」

インバウンド営業(インバウンドセールス)とは顧客から営業する側に商談をもちかける営業スタイルです。アウトバウンドセールスの突然の電話や訪問は営業側の一方的な都合によるところがありますが、インバウンドセールスは営業側から顧客に都合を押しつけることはありません。

インバウンドセールスのメリットは成果に繋がりやすいという点です。顧客からアプローチをかけてくるということは、少なからず自社の商品やサービスに興味をもっています。アウトバウンド営業のように興味のない状態とはスタートが違うのです。

一方、デメリットは実績をつくるのに時間がかかるという点にあります。昔はアウトバウンドセールスが主流でしたが、近年はインバウンドセールスが主流になりつつあります。その要因として、顧客に好まれる営業スタイルに変化しつつあるという点が関係しているのかもしれません。

これまでの代表的な4つの営業手法

営業手法には様々な種類がありますが、業種や業態によって適正が異なります。ここではこれまでの代表的な4つの営業手法について紹介します。

1. 顧客先に電話をしてアポイントを取り付ける「テレアポ営業」

テレアポ営業とは顧客先に電話をかけて行う営業手法です。主に商品やサービスを紹介し、会う約束(アポイント)を取り付けることが仕事になります。

テレアポは基本的にアウトバウンド営業でもインバウンド営業でも取り入れられています。
テレアポのメリットはきちんとした営業の段階を踏むことができるという点です。営業は最初にアポイントを取るのが基本で、アポイントのためにテレアポをします。

一方でデメリットはなかなかアポイントが取れないことや魅力が伝わりにくいという点です。アポイントを取るために電話をひたすらかけるのはあまり効率的ではありません。そんな中、インサイドセールスの広がりもあり、テレアポにも変化が生じました。かつてのようにアポイントを取るだけではなく、電話口で契約までの商談を行うなど内容の濃いものも出てきています。

2. アポイントなしで訪問先を訪れる「飛び込み営業」

飛び込み営業とはアポイントなしで訪問先を訪れる営業活動です。基本的に営業はアポイントを取ってから訪問先を訪れますが、飛び込み営業ではアポイントを取りません。

飛び込み営業は他の手法と比べても案件獲得のハードルが高い手法です。個人宅にアポなし訪問することはよくありますが、企業に対してアポなしで訪問するのは非常識とも捉えられてしまいます。また、アポなしですので相手は話を聞く準備ができていません。担当者が不在であったり、先客がいたりして話すら聞いてもらえないこともあります。そのため、飛び込み営業は件数に対して成果に繋がらないことが多いです。

とはいえ、悪いことばかりではありません。実際に会って話を聞いてもらうことができれば、案件を獲得するチャンスになります。ただし、顧客からはあまり好まれる営業手法でないことは確かです。

3. アポイント取得やサービス紹介にメールを用いる「メール営業」

メール営業とは、基本的にアポイントを取ったり、商品やサービスを売り込んだりするためにメールを使用する営業手法です。一般的な営業は顧客先を訪れることが多いですが、メール営業はわざわざ顧客先を訪問する必要がありません。

メール営業のメリットは、時間や場所を気にする必要がないという点です。会って商談するにはアポイントや場所取り、移動に時間がかかります。いつ・どこでも営業ができることはメールの営業の強みです。

一方デメリットは商談の進行に時間がかかる、魅力を伝えるのが難しいという点になります。ただし、近年はインサイドセールスを取り入れる企業が多くなったこともあり、契約以外の商談をメールで済ましてしまうということも珍しくなくなりました。

4. 展示会や実演販売などで多数にアプローチする「反響営業」

反響営業とは自社の商品やサービスを宣伝し、宣伝反響に対して行う営業手法です。代表的なものとして展示会や実演販売などが挙げられます。

宣伝方法にはインターネットやテレビ、雑誌などがあり、他の手法と違って特殊です。主な仕事は2つで、1つは商品やサービスを宣伝すること。もう1つは問い合わせに対し商品やサービスの説明・契約をすることです。

反響営業でメディアを使用する際は莫大な広告費用がかかりますが、反響営業は他の手法と比べても成果に繋がりやすいと言われています。一度に多くの人にアプローチできること、元々商品やサービスにそれほど興味のない層にまで宣伝できることで、成果に繋がりやすくなるのです。ただし、反響営業には多額の予算と顧客のニーズを正確に把握する必要があり、誰もができる営業手法ではありません。

新しい営業スタイル「インサイト営業」で顧客の潜在化した課題にアプローチ

インサイト営業(インサイトセールス)とは顧客すら気づいていない課題に対して、解決策を提案する営業スタイルです。ソリューション営業から新たな営業スタイルへの変化として注目されています。

ソリューション営業との違いは顧客の課題が浮き彫りになっているか否か

インサイト営業とソリューション営業の決定的な違いは顧客が課題を把握しているかということです。ソリューション営業とは顧客が現状抱えている課題に対して解決策を提案します。一方、インサイト営業は先述の通り潜在化した問題を浮き彫りにし、解決策を提案する営業スタイルです。

これまではソリューション営業が主流でしたが、近年はインサイト営業が増えつつあります。インターネットが普及した背景もあり、商品やサービスを知ることで初めて顧客自身が課題に気づいたというケースも増えています。

インサイト営業のメリットは仕事の幅を広げられること

インサイト営業のメリットは、仕事の幅を広げられるという点です。
ソリューション営業は顧客に課題がなければ成立せず、需要に限界があります。しかし、インサイト営業は顧客の課題を見つけることが仕事なので、ソリューション営業よりも需要は期待できるでしょう。潜在化した課題を先に見つけて先手を打てば、価格競争などで優位に立てることもあります。

インサイト営業スキルを身に着けるためには「分析力」「洞察力」が必要

インサイト営業スキルを身に着けるためには分析力や洞察力が必要です。
もちろん、ソリューション営業でも必要な提案力やコミュニケーション能力などはインサイト営業でも必要になります。しかし、それ以上に分析力や洞察力が無ければ潜在化した問題を洗い出すことはできません。

インサイト営業に必要なスキルを身に着けるにはまず、「顧客のために」という考えが必要です。基本的に企業はモノを売るということを前提としています。「モノを売るためにはどうすればいいのか」という考え方では、顧客の潜在化した課題を発見することはできません。

インサイト営業では顧客以上に顧客のことを知り、固定概念に捉われないことが重要です。また、主観的な視点と客観的な視点が必要になります。同じ視点だけでは見えるものも見えてはきません。視点を変えることで見えてくるものがあるはずです。

ただし、インサイト営業に必要なスキルは簡単に身に着けられるものではありません。これまで培った営業経験がインサイド営業で大きく活かされることでしょう。

適切な営業スタイルの確立が業績アップに繋がる

業績アップを目指すには、適切な営業スタイルで活動することが重要です。インターネットが無かった時代は飛び込み営業が効果的だったかもしれません。しかし、時代が変化すれば営業スタイルも変化します。自社に適した営業スタイルは何か、業績アップのためにも今一度見直す機会を設けましょう。