営業活動をしていると、もっとお客様に商品やサービスを購入してもらうためにはどうしたらいいか?と悩むものです。

商品を購入してもらうには、お客様の「心を動かすこと」が必要になりますので、心理学が役立つのかな?と思う方も多いでしょう。

人間誰もが、相手の行動や言葉につい反応して、心を動かされてしまうことがあるものです。その「心を動かされてしまう」人間の心の動きについて理解することができれば、営業のアプローチ方法が変化して、売上にも大きな影響を与えるはずです。

この記事では、営業の場ですぐに使えて効果も高い「お客様の心を動かせる」10の心理テクニックをご紹介します。どんな場面で使えば効果的か、具体的な使用例も同時にご紹介しますので、読み終わってからすぐに使うことができます。

また加えて、営業に役立つ心理学テクニックを更に学びたい方におすすめの本2冊も紹介します。

ぜひ、今から営業の場で実践して使ってみて、効果を確かめてみてください。

今から使って効果を出せる!営業向け行動心理学テクニック10選

営業向けの心理学テクニックにはさまざまあり、細かく分類すれば50以上にもなりますが、初心者では使いづらいものもたくさんあります。

そこで、数ある心理学テクニックの中でも、初心者からベテランまで「今すぐ使えて」かつ「効果の出る」有用な行動心理学のテクニックを10個厳選してご紹介します。

「こんな風に使うと効果的」という例も入れましたので参考にしてください。

単純接触効果

単純接触効果は、なんども繰り返して接触することで評価が高まったり好感度が上がる効果のことです。アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが提唱したので、ザイオンス効果とも呼ばれます。

なんども顔を合わせて会話をし、顔なじみになるにつれて警戒感が薄まっていくことで、信頼感が得られ、商品に対する好感度も上がっていくことで、商品を購入してくれるようになるのです。

某国民的アニメに「御用聞きの酒屋さん」が登場しますが、これといって用事がなくても頻繁に顔を出すことで、次の注文を取っています。これは古くからある日本的な営業スタイルではありますが、非常に効果があるのです。

単純接触効果を使いたい場合には、ごく短時間でいいので、できるだけお客様に頻繁に顔を見せることです。ごあいさつ程度でもいいので、顔や商品を覚えてもらいましょう。

今はメールやSNSが主流かもしれませんが、メールだと読んでもらえず、SNSもスルーされることが多いので、直接顔を見せるという手間をかけることでライバルと差をつけることができるでしょう。

好意の返報性

人から何かしらの施しを受けたとき、「お返しをしなくては申しわけない」というような気持ちになる心理作用のことを返報性の原理(法則)と言います。

返報性の原理(法則)は、好意を見せれば好意が返ってくる、敵意を見せれば敵意が返ってくるといったもので、普段普通に生活しているなかでも自然に行なっているものです。人間が本能的に持っている心理なのかもしれません。

好意の返報性を営業の場で使うのであれば、「無料お試し」などのサービスを行なってみる、初回の商品購入時に(お礼の品として)小さなプレゼントをつけてみる、などを行うと効果的です。

少しだけ相手に負担をかけることで、お客様が「次も商品を買わないと申し訳ない」と思うので、リピートの確率が上がるのです。

希少性の原理

「希少性の原理」とは、人が欲しいと思っている量(需要)に比べて、流通している量(供給)が少ないと感じた時、商品やサービスそのものの価値をより高く感じる心理的な現象のことをいいます。

「今しか買えない」「数量限定」などと聞くと、なぜか欲しくなってしまうということはありませんか。人は手に入りにくいものほど、価値が高いと感じる傾向があるのです。
またタイムセールも同じ原理を利用しています。期間限定で値引きを行うとお客様がこの時期に殺到したりします。

希少性の原理は、ネットやテレビの広告など、すでにさまざまな場で使われているので利用しやすいでしょう。

・数量限定
・期間限定

これらは、よく見かけるパターンです。これ以外にも、「先着◯名様に記念品をプレゼント」「◯円以上お買い上げいただくとVIP会員にランクアップ」といったものも効果的です。

ミラーリング

ミラーリングとは、相手の言動やしぐさなどを鏡(ミラー)に映ったかのように真似をすることにより、相手に親近感を持たせたり好感を抱かせる心理テクニックです。

人間には、”類似性の法則”というものがあり、自分と似た人や似ているものに対して好感を抱きやすい心理があるのです。

ミラーリングはセールスの場面で大きな効果を与えることができ、優秀な営業マンは無意識にミラーリングを活用していることが多いと言われています。

ミラーリングを行うことは、それほど難しいことではありません。

相手が楽しそうに笑ったら同じように笑い、相手が黙って考え出したら、同じようにこちらも静かに黙って待ちます。お客様に同調することで、好印象を与えることができるのです。

セールスの場面では、相手の言い回しや話すテンポを真似することも効果的です。ただ、相手に気づかれるほど露骨に真似してしまうと不快感を与えてしまうことになり、逆効果になるので注意しましょう。自然に行うことがコツです。

フットインザドア

フットインザドアは「一貫性の原理」とも呼ばれ、小さな頼みごとを積み重ねていくことによって最終的に”大きな目的”を果たすことを可能にする心理テクニックです。

一貫性の原理とは、一度決心した行動や発言、信念などを貫き通したいと思う心理的な作用のことです。マンガのコミックスなども、買い始めたら全巻揃えたくなりますよね。1巻でも抜けたらなんとなく落ち着かなくなるので、発売されるたびに購入してしまいます。気づいたら、200巻も買っていた!ということになります。これも一貫性の原理です。

フットインザドアはすぐに使えますが、効果が出るまでには時間がかかります。

*「有料サービス購入」がゴールの場合

①まず最初は、パンフレットだけでも受け取ってくださいと頼みます。
②次に、無料お試しコースを使ってみませんか?とすすめてみます。
③次に、1ヶ月間だけ30%OFFで提供しますので利用しませんか?とすすめます。
④最終的に目的の有料サービスを提案します。

少しずつ少しずつ、相手に要求していくように注意して、シビレを切らしていきなりハードルをあげたり、無理難題を押し付けたりしないよう、じっくりと時間をかけてじっと耐えることが大切です。

ドアインザフェイス

ドアインザフェイスは、その言葉の通り、ドアが開いたらいきなり顔を突っ込む動作からきている心理テクニックです。

まず最初に、相手が絶対に断るだろうと思われる頼みごとをして相手に断らせます。相手は断ったことで罪悪感を抱いてしまいますが、そのタイミングで、今度は最初の頼みごとよりも小さな頼みごとをすることで、相手は要求を飲んでしまうのです。

たとえば、最初に一番高額な商品のセールスを行います。すると、お客様は購入できないと拒否します。その後で、もう少し安価な商品のセールスを行うと、罪悪感を解消するために商品を購入してくれる可能性が高まります。価格だけでなく、サービス期間などでも同じです。長期間のサービスを最初に提案して、お客様に拒否されてから短期間のサービスを提案してみると、すんなり契約してもらえる率が上がります。

営業:お客様には、こちらのAプラン、1年間契約で◯万円をお勧めします。
お客様:うーん、ちょっと高いし、いきなり1年契約はちょっと……(難色を示す)
営業:それでは、Bプランの1ヶ月××××円のコースから試してみませんか。
   長期的に使いたくなったら、いつでもAプランに切り替え可能です。
お客様:1ヶ月程度なら試してみてもいいかな。

メラビアンの法則

メラビアンの法則とは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが話し手が聞き手に与える影響力について研究した結果から提唱した法則です。

相手が何を求めているのかわからない場合、言語情報(会話に用いられる言葉の意味や内容など)、聴覚情報(声のトーンや大きさ、話し方)、視覚情報(見た目、表情や仕草など)のどれを重要視するか実験したものです。

実験の結果からわかったことは、影響力の高い順に視覚情報(見た目・表情・動作など)が55%、聴覚情報(口調や話の早さなど)が38%、言語情報(話の内容)が7%の割合でした。この割合の数字を取って、「7-38-55のルール」とも言われています。

この結果を曲解して「見た目が最重要で話の内容は重要ではない」と捉える人がいますが、それは間違いです。メラビアンの法則は話し手がどちらともとれるような発言をした場合、聞き手は身体言語などのように視覚的な情報を頼る傾向にあることを証明した研究なので、話の内容が適当でいいわけではありませんので注意してください。

メラビアンの法則の営業の場での活かし方ですが、すでに普通に取り入れている方がほとんどだと思います。

通常の営業職であれば、上司から、髪型や身だしなみについてアドバイスされたり、はっきりとした声を出すように指導を受けていることがほとんどでしょう。

もし、それでも営業成績が今ひとつ振るわないということであれば、かなり細かいチェックをしてみることをおすすめします。自分で自分の動作のクセを見つけることは難しいので、できればパートナーや同僚に手伝ってもらいましょう。ポイントは、「お客様を不快にさせていないか、不安にさせていないか」です。

(例)
視線の位置(うつむいて商談をしていないか)、椅子の座り方(踏ん反り返っていたり、逆に縮こまっていないか)、手や足の位置はだらしなくしていないか、話し方のスピードが早すぎたり遅すぎたりしていないか、商談中に笑顔を見せているか、などチェックしてみましょう。

バックトラッキング

バックトラッキングとは、日本語で「オウム返し」とも言われる、相手の言ったことと同じことを返す話法のことを指します。

バックトラッキングを行うことによって、会話の相手は、自分の話をちゃんと聞いてもらえていると感じ、もう一度自分が発した言葉を聞くことで自分の思いや感情を再認識することができますので、こちらの信頼感を高めて、拒絶されたり拒否されることが避けられます。

営業の場でバックトラッキングを使うのであれば、お客様が「感情を表す言葉」を使った時に使うと効果的です。特に、悩みに関する言葉を発したときがポイントです。

*ライバル社Aの顧客にアプローチする場合

お客様:ウチは今、A社のサービス使ってるんだけど、使い心地がいいんだよ。
営業:A社さんの商品はとても使い心地がいいと聞いています。
   (ライバル会社のことでもお客様が褒めたら同調すること)
お客様:でもね、ちょっと料金が高いのと、△△△のところが不便なんだよね。
営業:ご利用料金は少し高いのですね。△△△が不便では少し不安ですね。
お客様:そうそう。使い心地はいいんだけどね、少し不安なんだ。
営業:お客様、弊社のプランでは△△△の部分については、こんな改善をしています。
   (と言いながら、パンフレットを見せる)
お客様:へー、そうなんだ。じゃ、料金はどんな感じなの?

といった感じで会話をすすめていきます。リズムが合ってくると、会話が心地よくなるのでお客様もこちらの話を拒否することなく、どんどん突っ込んで聞いてくるようになります。

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、日本的な言い方をすれば「勝ち馬に乗る」といった意味になります。

バンドワゴンとは、お祭りなどの行列の先頭を行く楽隊車のことで、バンドワゴン効果とは、大勢の人が支持をしている商品やサービスに対して、支持をする人が多ければ多いほど、満足感や安心感が増大する現象のことを指します。

「おかげさまで半年間の売り上げが●●億個!」「日本国内売り上げナンバーワン!」といった広告を見かけたことがあるでしょう。もし、こんな風に宣伝している商品を自分がまだ未使用だったり未購入だった場合は、気になってくるものです。

人気ラーメン店の店頭に長い行列ができていると、つい並んでしまうのもバンドワゴン効果の一種です。

バンドワゴン効果を上手に使うには、売りたい商品が「よく売れていること」を示す数値を提示してあげることです。小さな業界内であっても、優位性がはっきりわかる数値があるのであれば、ぜひそれをお客様に提示しましょう。

「お客様からの問い合わせが相次いでいます」「注文が殺到しています」といったセールストークも効果的です。

ローボールテクニック

はじめに相手にとって好条件だけを提示し、徐々に相手にとって不利な条件を突きつける手法のことをローボールテクニックといいます。条件や要求をボールにたとえて、“低い位置からボールから投げていき、だんだん高い位置にボールを投げて受け入れさせる”というところから、その名がついています。

ローボールテクニックは「特典除去法」とも言われています。最初に特典付きのいい条件を提示して取引の承諾を得た後から、特典はなかったことにされるからです。

話題になったもので例えると、ソーシャルゲーム(ソシャゲ)の課金システムです。ソシャゲは無料でできると言われて始めてみたら、ゲームを進めるために必要なアイテムは課金をしなければ得られなくなっているというものです。途中でゲームを止めればいいのですが、一貫性の原理(1-5.フットインザドアを参照)によって、一度始めたものを止めることに抵抗を感じるので続けてしまうのです。

ローボールテクニックは、使い方を間違うとお客様がだまされたと感じてしまうこともあるので、注意して使うことが大切です。

よく見かけるのは店舗で行うセールでしょう。「店内50%OFF 」と店先にのぼり旗が立っていたので、店に入ってみると、実は定価で販売しているものも一緒に売られていたりするパターンです。

もうひとつは、業界最安値という触れ込みの商品を購入したら、オプションの製品をいくつか取り付けないと利用ができなくなっているというもの。オプション製品を追加で購入したら、普通に販売している商品を購入したほうが安かったといったことが起こります。

営業に役立つ心理学テクニックが更に学べるおすすめ本2冊

影響力の武器


影響力の武器-第三版-なぜ、人は動かされるのか-ロバート・B・チャルディーニ

なんとなく買ってしまった、ついつい食べてしまったといった行動……自分では自発的に起こした行動だと思っていても、実際は他人から、なにかしらの影響を受けたことで行動を起こしているものです。

社会心理学者のロバート・B・チャルディーニ氏の著書『影響力の武器』は、「人は、他人からどのように影響され、他人の望む行動をとるようになるのか」ということを、社会心理学のさまざまな角度から分析し、くわしく解説した本です。

分析の結果からは、自分の望んでいる行動を他人に起こさせる方法も教えてくれます。特にセールスパーソンであれば必読の書です。『影響力の武器』を読むことで、人間がどうして他人に影響されるのか、どうすれば他人の心を動かし行動を起こさせることができるのか、ということをくわしく知ることができるからです。

もっとたくさん商品を売りたい、人を納得させたいなど、営業職として悩みを抱えているのであれば、ぜひ一読することをおすすめします。

人を動かす


人を動かす-新装版-デール-カーネギー

1937年に初版が発売されたデール・カーネギー著『人を動かす』は、全世界で1,500万部以上、日本国内においても500万部以上(邦訳版)の売り上げを誇る、自己啓発書の原点とも言われている歴史的なベストセラーです。

デール・カーネギー氏は、教師、セールスマン、食肉会社員、行商人など、さまざまな仕事を経験した後、ニューヨークで演劇の勉強をして、さらにいくつかの職を経たのち、大学時代に研究した弁論術を活かして研修講師として活躍をしていました。

その豊富な経験から導き出された、リーダーシップを発揮して人間関係を良好にするための具体的な方法論は、現代にも十分通用する、普遍的な「人を動かすため」の理論です。

『人を動かす』を読むことで、お客様との関係をよくする方法から、お客様に好かれる方法、説得する方法などを具体的で豊富な事例・エピソードとともに学ぶことができます。クレームにうまく対応するための対策もありますので、実際の営業活動の場で活かすことができます。

営業に役立つ心理学テクニックを使う際の注意点


営業に役立つ心理学を知ったら、すぐにでも使いたくなると思います。しかし、使い方を間違うと逆効果になることもあります。

ここでは、営業心理学を使ううえでの注意点をご紹介します。

テクニック以前の基本をおろそかにしない

心理テクニックだけに頼らず、営業活動の基本は忠実に守りましょう。あくまでも営業心理学は補助として使うものだからです。

アポイントメントの時間を守るといった基本的なビジネスマナーをおろそかにして、営業心理学のテクニックだけを使っても、お客様の気持ちを動かすことは難しいでしょう。

しっかりと営業活動のベースができているうえで、心理学のテクニックを使うようにすることが大切です。

必ずしも、うまくいくとは限らないことを知っておく

営業心理学のテクニックを使ったからといって、必ずしもうまくいくとは限らないことを知っておきましょう。商品を必要としていないお客様が突然商品を購入してくれるようになるといった、魔法のような効果は心理テクニックには残念ながらないのです。あくまでも、普通にセールスを行うよりも成約率を高めてくれる効果があるものです。

また、効果はすぐに出るものではありません。たとえば、1章でご紹介した「フットインザドア」は、ある程度の期間をかけてじっくり行わないと意味がないテクニックです。試しに1回やってみるといったテクニックではありません。

お客様との関係を徐々に深めていくための補助として使うことを忘れないようにしましょう。

複数のテクニックを一度に使わないようにする

心理テクニックは効果があるからといって、複数のテクニックを一度に使わないようにしましょう。
お客様が混乱してしまったり、場合によっては不快感を感じさせてしまいます。

たとえば、「バンドワゴン効果」と「希少性の原理」はある種、対極にある心理テクニックです。「たくさん売れてる商品です」と「限定商品です」は矛盾していますよね。この2つを同時に使ったら、お客様は一体どっちなんだ?となってしまいます。場合によっては、クレームになったりする恐れもあります。

心理テクニックというものは、ひとつ試してお客様の反応を確認し、その反応から次のテクニックを試すといった感じで手探りで行うものです。結果を早く求めようとして、同時にあれこれ行わないようにしましょう

お客様の気持ちを第一に考えることが最重要

心理テクニックは、お客様の気持ちを最優先に考えながら使うことが一番大切です。

商品もサービスも、お客様とのコミュニケーションが円滑に行われ、商品の優位性がきちんと伝わることで最終的に購入をしてもらえるものです。独りよがりになり、心理学のテクニックだけを使って「買わせよう」とすることは、お客様の気持ちを無視したマナー違反となってしまいます。

信頼されるセールスパーソンになるには、自分の売上よりもお客さんにとって何が最善かを考えることです。その信頼感の積み重ねが成約率アップに繋がるのです。

お客様にとって最善の選択をしてもらうために、営業心理学のテクニックを使うようにしましょう。

まとめ

営業に活かせる心理学の中でも、基本中の基本をご紹介しました。

どれもすぐに実行できますので、ぜひ試して、効果を実感していただきたいと思います。最後に注意点をおさらいしておきましょう。

1.テクニック以前の基本をおろそかにしない
2.必ずしも、うまくいくとは限らないことを知っておく
3.複数のテクニックを一度に使わないようにする
4.お客様の気持ちを第一に考えることが最重要

ご紹介した2冊の本も、ぜひ一度手に取って読んでみてください。さらに深く人間の心理について理解することができるはずです。

ご紹介した営業心理学をうまく活用して、成約率アップを目指しましょう!