わが国では現在少子高齢化が予想以上のスピードで進んでおり、それによってすでに労働者不足が始まっています。今後さらにそれが進み深刻な状況が予想されています。ここでは労働者人口の今後の推移予測、労働者不足に対する政府の働き方改革とその課題、そしてそこに触れられていない働き方改革等についてご紹介します。

労働者不足は日本企業の大きな課題

現在、労働力の主力となる生産年齢人口(15~64歳)が異常なペースで減少しています。既に農業、土木、介護の現場ではその一部を外国人労働者に頼っており、2017年秋の臨時国会ではその数を増加する法案が通りました。これはひとえに生産年齢人口のさらなる減少の予測からきています。
国立社会保障・人口問題研究所が2015(平成27)年に行った国勢調査に基づいて推定した日本の将来推計人口(平成27年推計)は、総人口、生産年齢人口、およびは生産年齢人口の総人口に占める割合の順に記しますと

年度 総人口 生産年齢人口 生産年齢人口
2015年 12,700万人 7,730万人 61%
2040年 11,100万人 6,000万人 54%
2060年 9,280万人 4,800万人 52%

となっており、生産年齢人口は徐々に下がっていくと予想されます。[注1]

このように人口減少が進むと、国内の内需が減少します。その結果企業は新規の投資を手控え、経済成長率が鈍化します。それにより税収が下がり、社会保障費が不足します。これにより生活費を年金受給に頼っている高齢者の貧困化が起こり、また既に一部の地方都市で見られるような人通りの少なくなった「シャッタ-通り」のような現象が多くの地方都市で起こることが予想されます。

【注1】日本の将来推計人口(平成29年推計)の概要
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000173087.pdf

日本政府が提唱している労働者不足対策―働き方改革

2016年9月、内閣官房に「働き方改革実現推進室」が設置され、働き方改革の取り組みを指示しました。働き方改革とは、労働者不足対策として「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」を言う「1億総活躍社会」を実現するために、労働制度等の抜本的改革が行われようとしています。

働き方改革にあわせた社内の労働環境改善

政府が推し進める働き方改革ですが、それを受けて、社内でも労働環境を変えていきましょう。
社内の労働環境改善に役立つ3つのアイデアを紹介します。

ITやAIといった先端技術の活用

ここ数年IT技術の進歩は目覚ましいものがあります。テレビ会議はもちろん仕事に必要なデータをクラウドに置きどこからでもアクセスできるようになっています。このことは家庭にあって仕事ができることを意味し、育児中の女性や介護休暇中の方の労働参加が可能となります。また、IT技術の発達によりそれを利用した各種ソフトが市販されています、例えば営業用のCRM/SFAや人事用の各種ソフト等があります。これらは業務改善や効率化に有効な手段となります。

また。AI技術は先に将棋や囲碁で注目を集めましたが、既に医学界、自動車産業、ロボット等でも利用されており、今後ビジネス面にもその応用が期待されています。今後これらの動向に注目し、適宜自分たちに合ったものを利用することが重要になると思われます。

人事評価の変更

日本の人事制度の特徴として、長時間勤務する人が良く働く・美徳とする企業内文化が残る場面も少なくありませんでした。仕事の内容にもよりますが、可能な範囲で従来の時間給から得られた成果を重視する成果給に変更することも重要です。

既定のものからの脱却-無駄の排除

社内で定型化しているものの見直しです。具体的には、署名捺印制度、印鑑が羅列する稟議制度等でこれらを電子書式に変更するなど、また儀式化した会議とその長さなどの見直しも必要です。そして就業規則や賃金規定、介護・育児休暇制度の見直しも必要でしょう。自分たちの従業員が本当に必要とする・使いやすい休暇制度への変更です。

政府の方針だけでなく自社内でも働き方改革を進めていく

労働者不足は将来の、他人の問題ではなく、目の前の自分たちに課せられた喫緊の重要な問題です。
政府が推し進める働き方改革はもちろんですが、自社内でもさまざまなツールを用いて、労働者不足を補う改革を進めていきましょう。