現代の働き方は、テクノロジーの進化により大きな変革を遂げています。スマートフォンやクラウドサービス、リモートワークの普及に伴い、いつでもどこでも仕事ができる環境が整いました。しかし、こうした利便性の向上が労働者にとっての負担増加に繋がっている側面も見逃すことはできません。特に「つながらない権利」の重要性は、ますます注目されるようになってきました。
本記事では、デジタル時代における「つながらない権利」の重要性と、それを実践するための具体的な方法について考察します。
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つながらない権利の定義と背景
「つながらない権利」とは、勤務時間外や休日に仕事関連の連絡に対応することを拒否する権利を指します。特にリモートワークが普及する中で、勤務時間外にメールや電話での業務連絡が増加し、労働者が休息を十分に取れないという問題が顕在化しています。この問題に対応するため、フランスでは2016年に労働法が改正され、「つながらない権利」が法制化されました。従業員50人以上の企業には、勤務時間外の業務連絡を遮断するルールの策定が義務付けられました。
一方、日本では「つながらない権利」に関する法制化は未だ進んでおらず、企業ごとの取り組みが中心です。しかし、企業が従業員に対して勤務時間外に連絡を行い続けることは、過重労働やハラスメントの温床となりかねない問題です。
デジタル時代の課題と労働者の現状
デジタルツールの普及により、仕事とプライベートの境界が曖昧になっていることは、デスクレスワーカーを含む多くの従業員にとって深刻な問題です。
BIGLOBEが実施した「2023年の働き方に関する意識調査」によると、全国の有職者892名のうち41.5%が「業務時間外に電話やメール、チャットで業務対応をしたことがある」と回答しています。また、全ての連絡に対応していると答えた人も21.6%に上り、勤務時間外の対応が当たり前になっている現状が浮き彫りとなっています。
さらに、「つながらない権利に対する配慮が必要だと思うか」という質問には、約7割の人が「必要だ」と感じていることが分かっています。
このデータは、労働者がどれだけ強いストレスや負担を感じているかを示しており、労働者の権利として「つながらない権利」を考慮する必要性が高まっています。
「つながらない権利」が生むハラスメントのリスク
勤務時間外の連絡が常態化することは、心理的負担だけでなく、リモートハラスメント(リモハラ)を引き起こす要因にもなります。リモハラとは、リモートワーク環境において、上司や同僚が過剰に連絡を強要することで、社員に過度なストレスを与える行為です。業務時間外にも関わらず連絡を強要されることで、休息が奪われ、メンタルヘルスの問題を引き起こすリスクがあります。
実際に、日本の企業ではリモハラ対策が急務とされており、特にプライベートと仕事の境界を明確にすることが必要とされています。たとえば、ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人では、午後10時以降と休日の社内メールのやり取りを禁止する取り組みを行っています。このような取り組みによって、従業員が仕事から解放される時間を確保し、結果として業務効率や生産性の向上に繋がるとされています。
cyzen(サイゼン)が提供する「つながらない権利」を守るソリューション
こうした問題に対して、効果的な解決策の一つが、弊社が提供するスマートフォンアプリ「cyzen(サイゼン)」です。「cyzen」は、デスクレスワーカーを含む幅広い業種の従業員に対応する働き方改革アプリであり、出退勤の管理や業務報告書の作成、顧客情報の管理などをスマートフォン上で行える機能を提供しています。
さらに、「cyzen」には、退勤後の社員に対する業務連絡を遮断する機能が追加されました。この機能は、従業員の勤怠情報に基づいて、勤務時間外には業務連絡をブロックします。
ブロックする機能は以下のとおり
・内線電話
・チャット
これにより、社員の「つながらない権利」を守るだけでなく、企業側も法的リスクを回避できるため、ハラスメント対策にもつながります。
「つながらない権利」対策の実践方法
企業内でのコミュニケーションルールを明確に策定することが必要です。特に勤務時間外の連絡については、緊急時以外は控えるように指導することが重要です。フランスの例を参考に、日本の企業も就業規則や従業員ハンドブックに「つながらない権利」を明記することが求められます。
勤怠管理システムの導入
企業が従業員の勤務時間を適切に管理するために、勤怠管理システムの導入が重要です。特に「cyzen」のようなシステムを使用することで、従業員の勤務状況をリアルタイムで把握し、勤務時間外の業務連絡を自動的に制限することが可能です。
コミュニケーションのルール策定
企業内でのコミュニケーションルールを明確に策定することが必要です。特に勤務時間外の連絡については、緊急時以外は控えるように指導することが重要です。フランスの例を参考に、日本の企業も就業規則や従業員ハンドブックに「つながらない権利」を明記することが求められます。
トレーニングと教育
管理職やリーダーに対して、従業員の健康管理や「つながらない権利」の重要性に関するトレーニングを提供することが大切です。特にリモートワークでは、従業員の姿が見えないため、過剰な連絡や監視を行うことで生じるメンタルヘルスリスクについての理解を深める必要があります
まとめ
デジタル時代における働き方の変化に伴い、労働者の負担も増加している現状は明らかです。「つながらない権利」は、従業員の健康を守るだけでなく、企業にとっても法的リスクや生産性の向上に繋がる重要な要素となります。フランスでの法整備に倣い、日本でもこの権利を尊重する取り組みが進められつつありますが、法的整備が進んでいない現状では、企業が自主的に「つながらない権利」を守るためのソリューションを導入することが求められます。
「cyzen」のようなシステムは、物理的に勤務時間外の連絡を遮断することで、企業と従業員双方にメリットをもたらします。今後、企業が積極的に「つながらない権利」を尊重することで、より健全で持続可能な働き方を実現できるでしょう。
■BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」にてcyzenが取り上げられました。