営業活動をサポートするツールであるSFAは、さまざまな種類が発売されています。今回は、多くのSFAのなかでも営業活動の効率アップに最適な営業向けのSFAツールの選び方やCRMツールと異なる点などを紹介します。
ビジネスシーンにおけるツールはさまざまありますが、なかでもSFAは営業活動をサポートするツールです。
INDEX
SFA導入で生まれる4つのメリット
SFAを導入するメリットとして
*営業情報の共有
*営業の数字が把握しやすい
*営業報告が簡素に
*ミスが発生しにくい
といった4つが挙げられます。
営業に関する情報の共有・指示がしやすくなる
SFAの機能として、過去の商談履歴や、案件の進捗状況など、営業活動に関連する情報をデータ化し、一元管理することで、営業の過程が可視化できます。
そのため、担当者以外にも情報が共有され、マネージャーにとっては指示出しがしやすく、営業担当にとっては、無駄な報連相で生まれる時間的ロスを削減できます。
営業の数字を把握しやすくなる
営業の進捗やプロセスがひとめでわかるSFA。そのため、営業がどれくらいの実績を出しているかも把握しやすくなります。また、予算に対する実績、予実管理もスムーズに行えるため、事前に予算達成のための手立てを講じることができます。
一元管理されたデータをレポート機能で簡単に報告可能
SAFで管理された営業に関するデータは、レポート機能などを用いて簡単に報告できます。これまでは、営業会議をはじめとしたミーティングの都度、営業報告書を作成していたという企業でも、SFAを導入することで、簡単にレポートとして提出できます。
このメリットは管理職に当てはまりますが、営業担当者にとっても、ツールによっては外出先からの営業報告入力が可能なため、都度帰社して営業報告書を作成するといった手間が省けます。
成功例を基にミス・イレギュラーを防止
SFAは、営業情報の諸々を管理できます。例えば、担当者と担当した案件を紐づけることも可能です。そのため、成約に結びついている担当者と、成約に結びついていない担当者が洗い出せます。その結果、成約に結びついている担当者の成功例を基に、なかなか成約に結びつかない担当者のミスを防止することができます。
これはOJTにも役立てられ、蓄積された営業データを基に、新入社員の教育に活用できます。
SFAの具体的な機能
取引先情報の管理
SFAの機能として取引先情報を管理できます。例えば、ある企業に対して、誰がどのようにアプローチしているか、成約に結びつくかどうかなどの取引先情報を、社内で共有して管理できます。
営業担当者の行動を管理することで案件を見える化
SFAを使うことで営業担当者の行動を管理でき、案件の見える化がはかれます。
そのため、管理者側もどこまで案件が進んでいてどこでつまずいたかを把握でき、的確なフィードバックが可能になります。
案件を分析して次のビジネスチャンスにつなげる
案件ごとに進捗が管理できるため、営業担当者個々の行動を分析できます。そのため、次のビジネスチャンスにいかす答えやアクションが導き出せます。
グループウェアとの連携
グループウェアとは、スケジュール管理や社内SNS、勤怠管理といった、組織内部での情報を共有するシステムを指します。SFAには多数の製品がありますが、そのなかには、グループウェアと連携可能なものもあります。このような製品を選ぶことで、より効率的にスケジュールの把握やコミュニケーションを図ることが出来ます。
SFAを活用して営業戦略を行う
SFAは上手に活用することで、営業戦略を練るのに一役買います。
例えば、業種・地域・従業員数など、営業先の情報を抽出して、分析することで、どこをターゲットにするかなどの戦略を立案することができます。
またSFAは営業プロセスが把握できるため、KPIの設定にもSFAは役立てられます。
この際、「量的KPI」と「効率性KPI」という2つの軸を考えましょう。
営業の基本プロセスを
*テレアポ〜訪問〜商談化〜クロージング
とした場合、
量的KPIは
*コンタクト率〜訪問件数〜提案数〜成約件数
となる一方、
効率KPIは
*訪問成約率〜提案実施率〜成約率
となります。
この2つのKPIの数値をもとに、自社の営業担当の強みがわかります。
SFAを用いれば、営業情報が次々蓄積されるため、より具体的な強みがわかってきます。
営業向きのSFAとは
SFAは営業からネガティブな意見が出ることもある
SFAは営業活動をサポートする有意義なツールです。しかし、営業の現場からはネガティブな意見がでることもあります。このSFAに対するネガティブな意見は、実際にSFAを活用する現場の意見で貴重な意見なので、これらの意見を考慮することは、最適なSFAを選ぶポイントにもなります。
使いにくい・見にくいという意見
スプレッドシートのように、無料で活用できるツールは、多少の使いづらさも、無料であるゆえに我慢できます。ですが、SFAは有料であるため、選ぶ際は、使いやすさを考慮しましょう。
使い勝手が悪ければ、利用するまでに操作方法を覚える必要もあります。そうなるとせっかくの業務効率化をはかるシステムでも、業務のスリム化どころか、時間的・人的にも無駄なコストが発生しかねません。
マネジメントされている感があるという意見
SFAツールは営業活動の可視化という大きな柱があります。
全社的にみればこのメリットは大きなメリットですが、営業担当にとっては、マネジメントされている感を抱く可能性もあります。
例えば、進捗状況が誰にでもわかってしまうことで、ノルマのプレッシャーをより感じてしまうかもしれません。本来であれば営業「支援」ツールであるべきはずのSFAが、営業「管理」ツールと化してしまいます。
入力が面倒くさいという意見
営業日報もそうですが、毎日記入するべきものでも、日々の忙しさに追いやられてついつい面倒くさくなることもあります。毎日、外出して取引先を回っているような営業担当者の場合、ちょっとした入力すら煩わしく感じてしまうかもしれません。ですがSFAの性質上、徐々にデータを蓄積していかなければ、属人化を改善できません。そのため、入力が行われければ、無用の長物となってしまいかねません。
使わない機能も多いうえに価格が高い
SFAツールには営業サポートに関する機能が豊富に備わっていますが、すべての機能を営業担当者が使うというわけではありません。そのため、営業担当者は、使わない機能が多いうえに、費用がかかっていると感じてしまうかもしれません。ですが、その時点では使わない機能であっても、いつかは使う時もあるはずです。また、このような考えを抱くのは、使いにくさにも直結する問題でもあります。
現場からのネガティブな意見を払拭!営業向きのSFA選びのポイント
UI / UXが良い
使いにくい・見にくいという意見を解消するには、UI / UXが優れたツールを選びましょう。
UIとはユーザーインターフェイスの略で、人とデバイスを繋ぐ存在です。例えば、ウェブサイトやスマホを眺めているとき、画面上で表示されるフォントやデザインがUIにあてはまります。
また、UXは、ユーザーエクスペリエンスの略で、ユーザーの経験やユーザーの体験といったように日本語では表現されます。例えば、デザインが綺麗、フォントが見やすいといった感想がユーザーエクスペリエンスにあたります。
この2つが整っていれば、使いやすくユーザビリティのあるツールといえます。そして、この使いやすさは、業務の進捗にも関わってくる大きな要素でもあります。
SFAツールを選ぶ際は、必ず、UI / UXに着目して選びましょう。
活用しやすい情報管理システムで「やらされている感」を払拭
活用しやすい情報管理システムのSFAツールを導入することで、現場が抱える「やらされている感」を払拭できます。SFAツールはあくまで、営業サポートのためのものです。ですので、営業情報管理システムが活用しやすければしやすいほど、ナレッジが蓄積されていき、営業担当者のためになるといえます。導入に際してはこの点に注意するだけでなく、営業の効率化という点を担当者に説くとよいでしょう。
自動化であれば入力する面倒くささを解消できる
入力するのが面倒くさいというのは、なかなか解消しづらい問題です。事実、SFAツールのなかには、必要事項を都度自分で入力しなければならないものもあります。ですが、なかには、入力が自動化されているものもあります。例えばメールと連携することで、送信したメールに記載された事項がSFA内に取り込まれるというツールであれば、面倒くさがって入力しないということは、減らせます。
シンプルで必要な機能だけそろっていれば作業しやすい
SAFツールの導入は、無料ではできません。かといっていくらお金をかけても、使わない機能があっては、意味がありません。そのため、SFAツール導入にあたっては、本当に必要な機能が備わっていて、価格に見合っているかどうかが肝心です。複雑な機能ばかりでは、使用する営業担当者のストレスが溜まっていく一方です。
この理由は、 シーナ・アイエンガーという大学教授が行なった「ジャムの実験」からわかります。
これは、試食コーナーにテーブルを2つ並べ、それぞれ6種類のジャムと24種類のジャムを置き、どちらが売れるかを調べる実験です。
結果、試食どちらも試食した人数は変わりませんでしたが、購入した人の割合は、6種類のテーブルの場合、30%、24種類のテーブルの場合3%と大きな差がでました。この結果から選択肢が過剰だと、利用者にストレスを与えるということがわかります。
つまりシンプルなデザインや機能であれば、使用者のストレスを軽減できるということです。
SAFとエクセル・スプレッドシートを3つのポイントで比較
エクセルやスプレッドシートを使用して顧客情報を管理している企業は多くあります。そこで、SFAとエクセル、スプレッドシートを比較して紹介します。
複数の顧客情報を管理するならSFA
エクセルでも顧客情報を管理することは可能です。例えば、請求書だけを発行するような用途であれば、エクセルでも十分です。
ですが、管理する情報が多くなると、見辛くなってしまい、スピーディに状況や情報を判断するという点では魅力がありません。また、個々人が入力するため、入力の仕方に差異が出てきてしまい、管理が煩雑になってしまいます。
その点、SFAであれば、企業情報や担当者の情報、顧客の予算などをスムーズかつ見やすく管理できます。
4〜5人以上が利用するのであればSFAが使いやすい
プロジェクトのように、複数人が同じ業務をしていく場合、一斉にツールを使用することが考えられます。
この場合、エクセルやスプレッドシートでも対応可能ですが、大人数が使用すると、ファイルが重くなることがあります。そのため、小規模なチームであれば問題ありませんが、4〜5名以上が使用する場合はSFAの方が使いやすいといえます。
外出先からアクセスするならSFA
外出先からアクセスを使用とした場合、スプレッドシートであれば閲覧可能です。ですが、使用人数の際に解説したとおり、アクセスしている人数が多ければ重くなってしまいます。
その点、SFAならインターネットが整っていれば外出先からでもアクセス可能です。
SFAとCRMの違い
SFAと同じようなビジネスツールとして、CRMが挙げられます。
SFAとCRMの機能は、重複する箇所もありますが、CRMの場合は、顧客情報の管理に重きをおいています。そのため、顧客への一括メールやアンケート実施などの機能がついており、カスタマーセンターなどへの導入が向いている機能といえます。
この違いを把握しておかないと、SFAを導入すべきなのに、CRMを導入してしまうといったこともありえます。
主にSFAとCRMの機能の違いは以下の表のとおりです。
SFAとCRMはどちらも営業を支援するツールであり、顧客情報を管理するという機能が備わっています。ですが、両者のツールに関しては、異なる部分もあります。
機能 SFA CRM
案件管理 ○ △
顧客管理 △ ○
取引先管理 ○ △
行動管理 ○ △
問い合わせ管理 × ○
日報管理 △ ×
スケジュール管理 ○ △
名刺管理 △ ×
通知機能 △ ×
メール一括送信 △ ○
メールマーケティング × ○
フォーム作成機能 × ○
データ分析レポート ○ ○
※○ どのツールにも基本的に実装 / △ 一部ツールにのみ実装 / × 基本的には備わっていない
このように、SFAは取引先や営業の行動管理に長けているのに対し、CRMは、メール一括送信やメールマーケティングなど、顧客向けの機能が充実しています。
SFAは導入前にトライアルを利用して現場の声を 吸い上げておく
SFAを提供している企業のなかには、期間限定でトライアルを用意しているところもあります。導入を考えている場合、このようなトライアルを利用しましょう。また、トライアル期間中は実際に使用する営業担当者の声を吸い上げておく必要があります。ここであがってきた意見を参考にして、自社に適したSFAツールを導入してみましょう。
SFAは営業管理ではなく営業を効率化するツール
SFAを導入する際に、実施に使用する現場から導入に消極的な意見があがってくることもあります。ですが、SFAは営業部門を管理するのではなく、営業部門の業務を効率化するツールです。この利便性をしっかりと社内共有して、誰もが納得したかたちで導入を実現しましょう。