どの会社も定例で営業会議を行なっていると思いますが、あなたの職場の会議は成果につながっていますか?
「チームごとに進捗や売り上げを報告するだけなので、『この時間で1件でも多く営業電話をかけたい』とグチる人も多い」
「成績の悪いメンバーに対する部長のお説教が長くて、みんな退屈している」
など、不満や改革の余地を感じている人も多いのではないでしょうか。
せっかく時間をとって会議をするなら、問題や課題が前向きに解決されたり、営業成績やモチベーションが上がるような、意義ある会議にしたいですよね。
実は、営業会議には以下のような「成果が上がる進め方 7ステップ」があるのです。
《会議前》
1)事前に議題を共有する
2)課題の解決策や提案を事前に考えておく
《営業会議本番》
3)前回の会議内容を復習する
4)全員が討論に参加する
5)内容をホワイトボードにすべて書く
《会議後》
6)議事録を共有する
7)決定事項はかならず実行する
これを守るだけで、営業会議からはムダな時間ややり取りがなくなり、活発に意見が交わされる場へと見違えることでしょう。
この記事ではまず、営業会議の目的を見直すことから始まって、上記7ステップの詳しい説明、さらには「やってはいけない営業会議のNG例」についても具体的にお知らせしていきます。
最後まで読んで実践すれば、あなたの会社の営業会議は見違えるほど成果の上がるものになること間違いなしです!
1.営業会議の目的とは
そもそも営業会議の目的とは何でしょうか?
ひと言に集約するなら、「目標達成のために、営業活動を改善する」ことです。
営業活動では、日々さまざまな問題や課題が持ち上がります。 その重要度、難易度はケースによってまちまちですよね。
営業マン個人の判断で対処できる簡単なトラブルもあれば、先輩や直属の上司と相談して解決できる問題もあります。
中には、部署全体に関わる大きな課題や、個人の力では対応できない深刻な問題も発生するでしょう。
そんな時に、解決法や施策を講じる場として「営業会議」が機能すべきです。
会議の出席者すべての知識や情報、経験を持ち寄って、
◎問題点や未解決の課題があれば、その原因を究明する
◎上記を解決するための対策、改善案を考える
ことこそが、営業会議の主眼なのです。 また、
◎あらためて目標を共有する
◎チームの一体感を強化し、モチベーションを向上させる
という意識改革の場にもなりえます。
決して、ダラダラと個別の売り上げや進捗を報告する時間でも、課長や部長からのお説教タイムでもありません。
繰り返しますが、営業会議とは、
「目標を達成するために課題を前向きに解決し、営業メンバーのモチベーションを向上させるチャンス」
であるということを、まず最初に胸に刻み込んでおいてください。
2.成果が上がる営業会議の準備と進め方 7ステップ
営業活動を改善し、チームの意識が高まり、売り上げや目標達成といった具体的な成果につながる理想的な営業会議とは、7つのステップから成っています。
その進め方を、時間経過に沿ってフロー図にしてみましたので、以下を見てください。
【 営業会議の進め方 】
会議前の2ステップ → 会議本番の3ステップ → 会議後の2ステップに分かれています。
この通りに進めるだけで、営業会議が格段に充実します。 では、それぞれのステップを順を追って説明していきましょう。
会議前
会議を成功させるには、まず事前の準備が重要です。
絶対に欠かせない準備は、以下の2点です。
①事前に議題を共有する
前回の営業会議の最後、または会議終了から次回の会議までの間に、次回の議題を決定して参加メンバー全員に共有しましょう。
会議が始まる直前に、上司から、
「今日は◯◯について話し合うから、ちゃんと考えておけよ!」
と急に号令がかかったり、ひどい場合には会議が始まってから議事進行係が、
「何かみんなに相談したいことがある人はいますか?」
と呼びかけたりする、そんな会議を経験したことはありませんか?
急に議題を持ちかけられても、短時間でベストな回答を出すことは至難の技ですよね。
問題や課題を根本的に解決するには、
◎問題の原因が何か、データや経験を持ち寄って客観的に分析・究明する
◎それを踏まえて、多角的な視点から解決案を出し合い、検証し、ベストな解決策を導き出す
という作業が必要です。
これは決して営業会議の間の1〜2時間でできることではありません。
会議の前に十分な準備をするために、議題はなるべく早くに決めて周知する必要があるのです。
議事進行担当者などが音頭をとって、次の会議で話し合うべき重要な議題を絞り込み、みんなで共有するようにしましょう。
【 NG例 】
× 会議直前に「本日の議題は◯◯です」と連絡する
× 議題を特に決めず、会議中に「何か話し合いたいことがありますか?」と募集する
× 日によって議題のあるときとないときがある
②課題の解決策や提案を事前に考えておく
議題が決まったら、参加メンバーには必ずそれぞれに解決策や提案を考えておいてもらうように徹底しましょう。
もし事前に議題を共有していたとしても、それに対してみんなが何の準備もせずに会議に臨んでしまっては、会議で有意義な討論などできないからです。
営業会議に上がるほどの重要な課題・問題は、個人がその場の思いつきで簡単に解決できるようなものではありません。
入念なリサーチや分析、深い考察が必要です。
時には過去の成功例を探し出したり、上司や先輩のアドバイスを受けたりして、解決の参考にする必要もあるでしょう。
参加メンバーに議題を共有する際には、
「リサーチや分析など準備に時間をかけて、必ず自分なりの解決策や提案を用意してください」
ということも徹底してください。
「これなら完璧だ!」と自信を持てる施策が見つからない人がいれば、「こうしたらどうだろう?」という提案、相談でもいいので準備させましょう。
各自の意見を持ち寄って、会議の場でより良い施策にブラッシュアップすればいいのです。
営業会議
事前の準備をした上で、いよいよ営業会議本番を迎えます。
議事進行の担当者を決めて、必ずその人の司会で進行するようにしましょう。
③前回の会議内容を復習する
会議の冒頭では、いきなり本日の議題に入らず、まずは前回の会議内容を振り返る時間をとってください。
まず議事進行係から、
◎前回の議題と決定事項の確認
◎持ち越された議題があれば、そのリマインド
などを行なうとよいでしょう。
というのも、今回の会議の内容は、前回の結果を踏まえていることも多いものです。
しかし、時間が経っていると内容を忘れてしまっている人もいて、議事進行中に
「あれ、そんな話したっけ?」
「あの問題に対しては、どんな施策が決まったんだっけ?」
などと混乱してしまうこともあるでしょう。
そうなると、一旦そこで進行を止めて説明することになり、会議の流れが滞ってしまいます。
それを予防するためには、最初に全員で前回の復習をする必要があるのです。
またこれによって、参加者全員が会議に参加する雰囲気づくりにも役立ちます。 逆に、
◼️個別の進捗状況や売り上げなどの報告をする
◼️何か情報を周知・共有するのに時間を割く
のはやめましょう。
報告は上司に対して個別にするか、一斉メールやチャットなど部内全員が閲覧できるコミュニケーションツールを使って周知すればいいことです。
情報もコミュニケーションツールで共有できます。
その方が記録も残り、あとで見返して確認することもできるので安心です。
営業会議のBAD CASEーA社の場合ー
毎週1回行われる定例の営業会議は1時間の予定で、参加者は部長と4人のリーダー、営業事務担当者など。
会議の進行は、4つある営業チームの週次報告からスタートするのが恒例になっている。
顧客との接触数、進捗、成約数、売り上げ見込みなど、数字の報告が長々と続き、進捗の遅れや目標の未達成があれば、そのたびに部長から「なぜ達成できていないのか」と説明を求められる。
担当リーダーが自己分析した原因を述べるのだが、
「接触はしているんですが、先方がなかなかつかまらなくて……」
「一度は契約寸前までいったのですが、急にキャンセルされて……」
など、ついつい自己弁護や言い訳に傾いてしまいがち。
となると、部長の怒りに火がつき、
「言い訳はいいから、具体的にどうするか考えろ!」
と檄が飛ぶ。
叱責された上に、急に対応策を求められた担当リーダーは、萎縮してしまっていいアイディアなど浮かぶはずもなく、上司はイライラ、部下はオロオロしているだけの無駄な時間が過ぎていく。
結局、全てのチームの報告(と部長の叱咤)が終わる頃には毎回30〜40分が経過。
肝心の議題をすべて解決できることは稀で、毎回次週へ持ち越しが生じてしまうのが現状だ。
④全員が討論に参加する
いよいよ本日の議題に入りますが、その際重要なのは、参加メンバー全員が必ず討論・議論に参加することです。
議事進行係は、必ず全員に意見を求めるようにしたり、集中していない人には「〜ですよね、◯◯さん」と同意を求めて注意を促すなどして、全員が意見を述べやすい雰囲気づくりをしてください。
一部の固定メンバーのみが発言したり、課長や部長が一方的に持論を展開したりする会議も多いようですが、それでは全体で話し合う意味がありません。 個別にやり取りすれば済むことです。
また、発言せずに漠然とその場に座っているだけの人がいるなら、それは人的リソースの無駄です。 会議の雰囲気も停滞してしまいます。 営業会議は、多くの人の意見、知識、経験を持ち寄ることに意味があります。
形式だけではなく内容的にも「全員参加」を心がけましょう。
【 NG例 】
× 発言するのは上司や決まったメンバーのみで、ただ聞いているだけの参加者がいる
× 上司の訓示や説教など、朝礼でできる話を会議で長々とする
⑤内容をホワイトボードにすべて書く
会議中は、議論の内容や決定事項など、すべてホワイトボードに書き出していきましょう。
書記係をひとり決め、全員からよく見える位置にホワイトボードを設置し、何でも書き込んでいってください。
会議で議論が活発化しない原因の中には、
◼️理解が追いつかずに進行から離脱してぼーっとしてしまう人が出てくる
◼️前に出た話を覚えていられず、同じ話を繰り返す人が出てくる
ということもあります。
それを避けるためには、ホワイトボードが有効なのです。
ホワイトボードに議題や各自の発言内容、提示された疑問点などをすべて書き出していくと、会議の進行がそのまま文字化=視覚化されていきます。
途中で理解できなかった部分がある人も、議論の一部を忘れてしまった人も、ボードに書かれていればすぐに確認することができるので、会議からの脱落者が出ず、全員が進行を理解できるという利点があるわけです。
また、会議後にはホワイトボードをそのまま写真に撮って、簡単な議事録がわりにすることもできます。
ちなみに最近では、大きなプロジェクターに資料を映し出してみんなでそれを見つめたり、各人がそれぞれノートパソコンやタブレットにメモを取りながら会議に参加する企業も多いようです。
しかし、プロジェクター式だとどうしても「説明する側」と「レクチャーを受ける側」のような構図ができてしまい、説明者以外のメンバーが受動的になりがちで、積極的に討論するという形にはなりにくいものです。
また、PC式だと人と向き合うよりも、俯いてPC画面と向き合う時間が長くなってしまいます。
俯いてお互いに目も合わせない状態では、活発な議論には発展しないでしょう。 全員が同じ情報を共有し、議論の活発な進行を理解することができるホワイトボードが、営業会議には必須なのです。
会議後
こうして有意義な会議が終わったからといって、そのまま放置してはいけません。
その後にも必ずすべきことが2点ありますので、解説していきましょう。
⑥議事録を共有する
会議後にはまず、議事録を必ず作成し、参加メンバーに共有してください。
録音テープから起こすなど、手間をかけなくても結構です。
前述したように、会議後のホワイトボードを写真に撮って、その画像を共有するだけでも十分です。
というのも、会議の記録を参加者個別のメモ書きなどに任せていると、人によって理解度、問題意識などに差が生じてしまいます。 抜け漏れがあっても気づきにくく、結果として大きなトラブルにもつながりかねません。
一方で共通の議事録があれば、全員が同じ情報、意識を共有することができます。 次回の会議の議題について考える際にも、この議事録を踏まえてさらに深い考察をすることが可能でしょう。
できれば会議後時間を開けず、記憶が新しいうちになるべく早く共有するようにしてください。
⑦決定事項はかならず実行する
そして、最後のポイントは、会議で決まったことは期限までに必ず実行する、ということです。
もしも決定事項を完遂できないまま次回の会議を迎えてしまうと、今度はそこで
「なぜ達成できなかったのか」
「どうすれば達成できるようになるのか」
という新たな議題が生まれてしまいます。
その報告から原因究明、対策のために、あらためて時間と工数を割かねばなりません。
これは、完遂できていれば必要なかった余分な時間、無駄な手間です。
そういった非効率を避けるためにも、会議での決定事項は必ず完遂しましょう。
3. まとめ
いかがでしょうか?
従来「営業会議の典型」と思われてきた、
進捗報告や状況確認
上司からの叱咤や説教
などは意味がないということを理解していただけたことと思います。
では、成果の上がる理想的な営業会議の進め方について、もう一度確認してみましょう。
1)営業会議の目的は、「目標達成のために、営業活動を改善する」こと
具体的には、
◎問題点や未解決の課題があれば、その原因を究明する
◎上記を解決するための対策、改善案を考える
◎あらためて目標を共有する
◎チームの一体感を強化し、モチベーションを向上させる
2)成果が上がる営業会議の準備と進め方・7ステップは、
<会議前>
①事前に議題を共有する
②課題の解決策や提案を事前に考えておく
<営業会議>
③前回の会議内容を復習する
④全員が討論に参加する
⑤内容をホワイトボードにすべて書く
<会議後>
⑥議事録を共有する
⑦決定事項はかならず実行する
「自社の営業会議とは真逆だ!」と感じる方も多いかもしれません。
が、今より成果を上げたいならば、ぜひこれを参考に会議を改革してみてください。 あなたの会社の営業会議が「退屈で無駄な時間」を脱却し、「発展的で創造的な場」へと進化することを願っています!