働き方改革とは?労働に関する課題と国の施策をわかりやすく解説

2019年08月06日(火) 横溝 竜太郎

働き方改革とは?労働に関する課題と国の施策をわかりやすく解説

「働き方改革」という言葉を何となくは知っているけれど、改めてその意味をちゃんと知りたい。
様々な雑誌サイトに説明はあるんだけど結局どういう事なのかよく分からない!もっと分かりやすく教えて欲しい!

このように思ってはいないでしょうか?

本記事では
・働き方改革の背景
・働き方改革で解決を目指す現在日本の労働環境における3つの問題
・現在、働き方改革で行われている具体的な施策
・実際に企業が行った働き方改革の3つの成功事例

について、わかりやすくご説明します。

この記事を読めば、ぼんやりとした理解になっている働き方改革をクリアーに捉える事ができるようになるでしょう。

INDEX

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1.働き方改革とは「より多くの人が」「より生産的に」働ける事を目指す取り組み

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2019年度版の厚生労働省では、「働き方改革」とは、働く人々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにするための改革であると定義づけています。

また、首相官邸のwebサイトでは、「働き方改革」について以下のように表現しています。

働き方改革は『一億総活躍社会』の実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。
引用: 首相官邸「働き方改革の実現」

働き方改革実現会議が決定した「働き方改革実行計画」では、日本の経済を再生させるためには、投資やイノベーションの促進を通じた付加価値生産性を向上させること、そしてと、労働参加率を向上させることが必要だとしています。

つまり、具体的な課題として、
①労働参加率の向上
②労働生産性の向上

という2点を実現することにより、「一億総活躍社会」を目指していくということになります。

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2.働き方改革施行の背景にあるのは労働人口の減少問題

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政府主導による働き方改革が進められているのは、日本の人口が減っているという背景があるからです。

まず、内閣府が発表している日本の人口推計を見てみましょう。
現在の減少率が続くと、2050年には総人口が1億人を切り、2110年には4300万人までに減少すると言われています。
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引用:内閣府「人口・経済・地域社会の将来像」

国の総人口が減るということは、当然、労働力人口(生産年齢人口)も減ることになります。

次に、労働力人口の推移を見てみましょう。
第二次ベビーブームに生まれた団塊ジュニアの時代がピークでしたが、それ以降は減少しています。
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引用:内閣府「人口・経済・地域社会の将来像」

このままでは、国全体の生産力が低下することは避けられないということで、国と企業が連携して本格的に働き方改革に乗り出しました。
生産年齢に当てはまる人だけでなく、子育て中の女性や高年齢者など、意欲のある人が労働力として活躍できる体制を作り、業務効率化や労働生産性の向上を実現を目指します。

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3.日本の労働に関する3つの課題

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政府は働き方改革を実現するために、以下の3つの課題をクリアしていかなければならないと考えています。

1.非正規労働者の冷遇
2.長時間労働
3.単線型キャリアパス

それぞれ、詳しくご説明していきます。

3-1.非正規労働者の冷遇

正規労働者と非正規労働者、つまり、正社員と非正規社員には大きな待遇差があります。
たとえば、正社員に比べて日本の非正規社員の待遇は約6割にとどまっている、PC研修を受けたりキャリアアップセミナーを受けたりするなど、能力アップにつながる教育がされないというのが現状です。

こういった格差があるため、非正規社員は同じ仕事をしても正しく評価されないという気持ちが高まり、結果的に働く意欲をなくしてしまうということにつながります。それは必然的に生産性の低下にもなるでしょう。
しかし、能力を正しく評価されれば、非正規社員の納得感も高まり、働くモチベーションがあがると考えているのです。

3-2.長時間労働

戦後の日本は、「働けば働くほど賃金があがる」「残業すればするほど評価される」といった価値観に縛られてきました。
しかし、プライベートを犠牲にし、休暇もとらず働くことで、体調を悪くしたり、心の病気になったりする人も増加しています。それが、過労死や自殺などという最悪の結果を引き起こすこともあるなど、問題が顕著になってきました。

さらに、長時間労働をしていると、仕事と家庭生活の両立が難しくなるということで、女性のキャリア形成を阻んだり、少子化の原因となったりしています。
また、男性の家庭参加を阻む原因の一つであるとも言えます。

この長時間労働を是正することで、健康のリスクを減らすことができ、プライベートの時間を確保することもできます。つまり、ワーク・ライフ・バランスの改善が期待できるのです。
また、「何時間働くか」ではなく、「どのように働くか」を考えることで、労働生産性の向上につながると期待できます。

3-3.単線型キャリアパス

単線型キャリアパスというのは、日本で長く続いている新卒採用や終身雇用などを前提にしたキャリアアップの道筋のことです。
つまり、現在の就業システムでは、一定期間、仕事をし、どのくらいの能力が身についたら、このポストに就くという道筋が決まっています。

そのため、転職を重ねることでキャリアアップしていくアメリカのような国とは異なり、日本では転職や再就職が不利になることが多いです。また、働きたいと考える子育て中の女性や高齢者の就労の妨げになっているのも現状です。
そのため、全体として労働力が下がってしまいます。

こういったライフスタイルの多様化に合わせ、柔軟な働き方ができる環境づくりを進めると、これまで労働に参加できなかった人も働けるようになります。
自分に合った働き方を選べるようになれば、自分のキャリアを自分で作ることができ、国全体の生産性の向上も期待できます。

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4 働き方改革に向けて国が取り組む3つの施策

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3章でお伝えした現在の労働に関する3つの課題に対し、どのような施策に取り組んでいるのか、その内容についてまとめました。

4-1.同一労働同一賃金の導入

「非正規労働者の冷遇」という課題に対し、国は「同一労働同一賃金」を導入を決めました。
これは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇に差をつけることなく、仕事ぶりや能力に対して適正に評価するというものです。
具体的には、基本給や昇給、ボーナスなどの各種手当に加え、教育訓練や福利厚生も「待遇」の対象となります。待遇差がある場合は、事業者がその理由を説明しなければならなくなりました。

「同一労働同一賃金」に関する法案は2020年4月1日より施行されることになっており(中小企業は2021年4月1日より)、関連法である「労働契約法」や「パートタイム労働法」「労働者派遣法」が改正されています。

4-2.罰則付き時間外労働の上限規制の導入

今までは法律で時間外労働の限度が定められていなかったことから、事実上、残業が青天井が発生していた可能性があります。
この「長時間労働」への対策として、労働基準法が改正され、上限が法律で制定されました。

具体的には時間外労働、つまり残業の限度は「月45時間、かつ、年360時間」とし、例外措置があっても、「年720時間、月100時間未満」となりました。今までは上限がありませんでしたが、今後はこれに違反すると罰金となります。

これまで大企業だけに適用されていた月60時間以上の割増賃金150%も2020年4月1日から中小企業に適用されます。
違反すると、罰則として半年以下の懲役または30万円の罰金が科せられることになります。

4-3.付加価値の高い産業への転職機会の拡大

単線型キャリアパスという従来の日本のシステムを変えるため、転職や再就職など新卒以外にもいろいろな採用機会を広げていくという取り組みをしています。

たとえば、成長を遂げているベンチャー企業が転職者を受け入れて能力開発を行ったり賃金を拡大したりする場合に、助成を拡大します。また、年功序列ではなく、生産性や業績を見て評価をし、報酬や等級などに反映させるなどの人事システムを導入している企業への助成も進めています。

さらに、官民一体となって採用機会を広げる方策に取り組んでいくとしています。
具体的にはAIやロボットなどの成長分野を含めた様々な仕事内容、求められる知識に加え、資格や能力、年収情報などを含めて総合的に提供するサイト「日本版O-NET」を創設しました。

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5. 企業の働き方改革に成功した3つの事例

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本章では、実際に企業が実践した働き方改革の取り組みをご紹介します。

5-1.日本生命保険相互会社

日本生命では、「人財」がすべての礎であるという考えのもと、「人財価値向上プロジェクト」を立ち上げ、「ワークスタイル変革」「人財育成」「ダイバーシティ推進」を3つの柱として、様々な取り組みを進めています。

【課題】

・長時間労働の蔓延、有給休暇の繰越
・仕事と育児、仕事と介護の両立への不安

【具体的な施策】

・社長自ら座長を務め、「人材価値向上プロジェクト」を推進。全社員が一眼となって「ワークスタイル変革」に取り組む。
・家族とすごす時間や自身の成長に繋げる時間を作るため、「ブラッシュアップデー休暇取得」を推進。
・男性の育児休業取得率100%を掲げ、取得計画のフォローや情報提供を行う。
・介護実態調査を行い、従業員の「仕事と介護の両立」を目指して制度改正を行った。
・企業主導型保育所の全国展開をすすめる。
・京都にサテライトオフィスを開設し、テレワークを導入。

【効果】

・平日は20時退出、水曜日は18時退出を徹底し、一斉消灯をする。そのかわりに、能力開発支援プログラム「ニッセイアフタースクール」を展開。すでに1200名が受講。
・対象となる男性の育児休業取得率は4年連続100%を達成、累計取得者数は1200名を超えた。
・介護体験セミナーや介護ボランティアに7000名を超える従業員が参加。
・総務省による「テレワーク・デイ国民運動」にも参画し、首都圏で130名が参加。

参考:経団連「働き方改革事例集」

5-2.大成建設株式会社

予測の難しい自然環境や工期短縮や仕様変更への対応のため、休日出勤や早出残業などをいとわない傾向にある建設業でありながら、業務の改善や削減、休暇制度の見直しなど継続的に取り組んでいます。

【課題】

・長時間労働による過重労働(月100時間以上)、休日出勤・早出残業の気風
・仕事と育児、仕事と介護の両立への不安

【具体的な施策】

・社長からのメッセージを全社員に配信し、意識の変革に務めた。
・「時短委員会」を設立し、休日休暇取得日数や残業時間の目標を数値化。
・長時間残業が見込まれる場合は事前に報告することを求めた。」
・モバイルデバイスを社員に配布し、ICTやクラウドを活用した施工システム、管理ツールを展開。
・生産現場での無理・無駄・非効率・不合理を廃止する取り組みを継続
・在宅勤務、テレワークを試験的に実施。

【効果】

・「目標は数値で」「施策は具体的に」ということをモットーに取り組んできたことで、月100
時間以上残業した社員は半減、休暇取得率も平均113日から120日へと増加。
・介護休業制度を93日から180日へ、介護休暇は1名につき10日、時間単位で取得可能に。
・仕事と介護の両立支援制度に関するセミナーの参加者は1000人を超えた。
・男性社員の介護休暇取得者が増え、2015年度以降は助成取得者数を上回る。

参考:経団連「働き方改革事例集」

5-3.本田技研工業株式会社

本田技研工業では「自立」「平等」「信頼」を要素とする「人間尊重」を基本理念とし、従業員一人ひとりが力を発揮できるよう、いきいきと働きやすい職場環境づくりに注力しています。

【課題】

・対人関係、業務負荷へのストレスが蔓延
・深夜勤務(22時以降)などの突発的な事態の増加
・有給休暇の繰越限度超過

【具体的な施策】

・「オールHonda 心の健康づくり」を策定し、メンタルヘルスを推進し、カウンセリング体制を整える。
・復職率を高めるために、5つのステップをふまえた復職支援プログラムを整備。
・組織健康度・活力度を向上させるためにストレスチェックを活用。
・十分な休息時間を確保するため、深夜勤務における翌日出社時間調整ルールを徹底。
・有給休暇の次年度への繰り越し、消滅をなくすべく、有給カットゼロ運動の推進。

【効果】

・ストレスチェック調査において、従業員の回答率は常に90%を超える
・深夜勤務における翌日出社時間調整調整は平均50人に適用、繁忙期は90名に適用。
・年度はじめに有給取得計画を立てることで、ほぼ100%の有給取得率を達成。

参考:経団連「働き方改革事例集」

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6.まとめ

働き方改革というのは、より多くの人がより生産的に働ける「一億総活躍社会」を実現するための取り組みです。
この背景にあるのは、労働人口が減少しているという状況です。

そのため、日本の経済を再生させるために、
①労働参加率の向上
②労働生産性の向上

という2点を実現することにより、「一億総活躍社会」を目指していきます。

なかでも、
・非正規労働者の冷遇
・長時間労働
・単線型キャリアパス

という3つの課題をクリアするために様々な施策を考えています。

すでに、働き方改革を実施している企業の成功事例を参考に、今後、企業としての取り組みをスタートさせましょう。

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