KPIとKGIの違いとは?2つの指標の関係と具体例で解説、設定方法と導入するときの運用方法も紹介しています。さらに、新しく注目されているビジネス指標OKRやCSFについても触れています。新たな評価を作る参考、用語の理解にお役立ていただける記事です。
INDEX
1.KPIとKGIの違いとは?
KPIとKGIの違いはKPIが指標であるのに対し、KGIは目標である点です。
KPIとKGIは相関関係にあるため、同時に使われることが多く、混同しやい言葉です。この2つの違いについて解説していきます。
KPI(Key Performance Indicator)とは?
KPIはKey Performance Indicatorの略で「重要業績評価指標」や「主要業績評価指標」と翻訳されます。
KPIという言葉は「目標に対しての達成度」を意味しており、目標を達成するための方法やプロセス、進捗を管理するために使われる指標です。
目標に対するプロセス、つまり中間の指標であるため部門やチーム、業務ごとに設定されます。
KGI(Key Goal Indicator)とは?
KGIはKey Goal Indicatorの略であり、「重要目標達成指標」と翻訳されます。
KGIは最終的な目標を意味しており、企業や事業部など組織全体の大きな目標がKGIとして設定されます。
2.KPIとKGIは相関関係にあるもの
KPI はKGIを達成するための中間指標
KGI はKPIが達成されることで実現する最終目標
KPIとKGIは必要なプロセス(KPI)を達成したら最終目標(KGI)が実現できるという相関関係があります。
では「最終目標であるKGIだけを管理すればいいのでは?」と思うもしれません。しかし、企業や組織は各部門に分かれていたり、業務を分担して成り立っています。大きな最終目標、例えば「会社の利益を10%あげる」だけでは従業員一人一人にとっては自分ごととして捉えられず、日々の業務が平坦なものになってしまいます。
そこで、「会社の利益を10%あげる」ために「自分の部門やチームが目指すことを具体化した目標」がKPIなのです。
3.KPIとKGI設定の具体例
営業組織のKPIとKGIの設定例
「年間売上を30%あげる」という最終目標KGIに対して各部門で何をすべきなのかを定め、指標とするものがKPIとなります。
チームでの売上や行動目標、新しい施策の実施などやるべきことを明確に設定していきます。
また、KPIはやるべきことが細分化されるため、業務やグループ、チームが多いといった場合には階層化されることも特徴です。
4.KPIとKGIの設定方法とポイント5つ
KPIやKGIだけでなく、目標設定を行う際によく用いられる手法が「SMARTモデル」と呼ばれるものがあります。
M:Measurable
A:Achievable
R:Relevant
T:Time-bounded
①Specific 明確な
KGI・KPIともに会社全体やチーム内で共有していく必要があるため、誰にでもわかるよう明確に設定することが重要です。個人レベルで認識が変わってしまうようなものは、指標として成立しません。目標を明確にすることで、全員が理解・認識することができ、一人ひとりが主体的に動いていけるようになります。
<明確な指標> 成約率、訪問件数 など
<不明確な指標> 粘り強い営業、顧客のためになる業務の実践 など
②Measurable 測定可能な
設定するKGIやKPIは、誰が見ても状況を把握できるよう数値で設定しましょう。
目標が達成できない場合でも、測定可能な指標を設定していれば原因や問題点も見付けやすくなります。
<測定可能な指標> 回数、件数、パーセンテージ など
<測定不可能な指標> 顧客のニーズの把握、たくさんの情報を集める など
③Achievable 達成可能な
設定されたKPIが高すぎる場合、従業員のモチベーションが下がるだけでなくKGIにも影響を与えます。
現実可能な目標設定をし、KGIにたどり着くまでのプロセスが具体的にイメージできることや、業務を行う一人ひとりが設定された指標に対して理解・納得できているかも重要です。
<達成可能な指標> 昨年度実績に基づいた販売数 など
<達成不可能な指標> 実績からかけ離れた受注率 など
④Relevant 関連がある
KGIとKPIは関連していなければなりません。 KGIを達成するプロセスとして正しくKPIが設定されている必要があります。設定したKPIでKGIが達成できるよう目標設定を行いましょう。
<適切な指標> 営業の場合:注文数、訪問件数 など
<不適切な指標> 営業の場合:親睦会の回数 など
⑤Time-bounded 期限を定めた
目標を達成するには、各業務に期限を決めておくことが基本です。期限を決めることで目標達成率が上がったり、業務の優先順位が付けやすく効率的になります。 KGIの期限から逆算して、それぞれのKPIにも期限を設けていきましょう。
<期限を定めた指標> 週、月、上半期、下半期 など <期限を定めない指標> 近々、そのうち など
5.KPIとKGIを指標として運用する方法
設定したKGI・KPIは進捗や達成を継続的に簡単に管理できるよう運用していく必要があります。
業務や達成すべきKPIによって管理の方法は異なりますが、おすすめの管理方法は全体を俯瞰してみることができるKPIツリー(マップ)と、活動記録で業務を可視化する方法です。
KPIツリー/マップで管理
引用:カオナビ
「カオナビ:KPIツリーとは? 作り方、具体例、目的、メリットについて【KPI・KGIとは?】 」
KPIツリー、KPIマップと呼ばれる業務全体を視覚的に把握できるものです。PowerPointやエクセルで作成することもできますが、テンプレートのダウンロードもできるため、参考にしてください。
・カオナビ:KPIツリーとは? 作り方、具体例、目的、メリットについて【KPI・KGIとは?】
・データの時間:すぐ使える!営業のKPI(ロジック)ツリーテンプレート(PowerPoint形式)
業務可視化ツールで管理
業務を可視化するツールにはSFAと呼ばれる営業支援システムをはじめとし、建設業界や保険業界、訪問看護業界など業界に特化した業務管理ツールがあります。ツールを使うことで日々の業務や活動記録がデータ化され、数値で可視化できるようになります。
紙やエクセルでも管理は可能ですが、分析の時間や入力の負担が発生するためリソースや従業員の規模によってはツールの活用もおすすめです。
6.注目されているビジネス指標KPI・KGI・OKR・CSFの違いとは?
KGI | 最終目標 |
KPI | 最終目標を達成するため具体的なプロセス目標 |
OKR |
企業と個人の方向性を一致させるための目標 |
CSF | 最終目標に対して影響力の高い要因 |
OKRとは?
OKRはObjectives and Key Resultsの略で「達成目標と主要な成果」と翻訳されます。
達成すべき目標(Objectives)」と「目標達成のための主要な成果(Key Results)」をリンクさせることにより、組織や個人の方向を統一することを目的としています。個人と企業の方向を合わせるものであるため、60%〜80%で達成できるような高い目標が設定されます。
CSF(KSF/KFS)とは?
CSFはCritical Success Factorの略であり、「重要成功要因」と翻訳されます。
成功に至った重要な要因、つまり最終目標であるKGI達成に大きく影響する要因を指します。
売上10%アップというKGIを設定している営業を例にあげると、訪問回数が多いほど売上が上がる組織であれば、重要成功要因であるCSFは訪問回数となります。
CSFはKSF(Key Success Factor)やKFS(Key Factor for Success)とも同じ意味で使われています。
7.まとめ
KPIとKGI、OKRやCSFは組織で目標を達成するためのフレームワークです。
目標の設定やプロセスの可視化は色々な方法があるので、完全にフレームワーク通りに目標設定をする必要はありません。自社の業務に合わせて必要な部分を取り入れることで、効果的な目標設定、数値管理、チームワークに繋げることができます。