「顧客の潜在ニーズを知るにはどうすれば良いだろう?」
「売り上げにつながるような顧客分析の手法を知りたい!」
このような悩みを持たれているビジネスパーソンの方も多いのではないでしょうか。
企業が売り上げを伸ばしていくためには、顧客や市場のニーズを把握することが必要です。特に現代社会では、消費者のニーズが多様化しており、顧客情報を分析することがより求められています。
ターゲットとなるユーザーに効果的な施策を行えるように、適切な顧客分析を行う必要があります。
この記事では、顧客分析についての基本的な情報から、デシル分析などの代表的な手法をお伝えします。
また、分析に活用できるおすすめのツールや、分析を行う際の注意点なども解説していきます。
本記事を読むことで、顧客分析を自社で行い、売り上げアップに貢献しましょう!
1.顧客分析とは?
顧客分析は、自社の商品やサービスを購入・利用する顧客の情報を分析することを指します。具体的には年齢層や性別などの属性情報や、来店頻度・購入頻度などの購買行動を分析します。
顧客分析では、こういった顧客に関する情報を通じ、さらなる需要が期待出来る事業展開や、潜在顧客に対するマーケティングを進めることができます。
顧客分析をおこなう際には、顧客の満足度をさらに上げることを大前提にしていなければなりません。
2.顧客分析をする目的
顧客分析の目的は業種や業態によって異なるため、自社が抱える課題に合わせて顧客を分析する必要があります。
例えば、今後計画しているサービスの将来性を知りたい場合、潜在顧客の有無を分析する必要があります。
また、現在の顧客の満足度を上げたい場合は、顧客満足度の分析をすることになります。
どんなに良い商品でも、しっかりと顧客のニーズを考えられていない商品は大きな利益が上げられません。
商品を売り、多くの利益を上げるために、顧客の状況をしっかりと知ることが出来る「顧客分析」はビジネスをする上で特に重要な要素であるといえるのです。
顧客分析を行うことで得られる効果
目的を果たす以外にも、顧客分析を行うことで得られる効果やメリットがあります。具体的には以下のようなものが挙げられます。
②マーケティングの施策を改善できる
③業績UP、売上UPに貢献できる
それでは、それぞれのメリットについて詳しく解説いたします。
①自社の現状を把握できる
顧客分析を行うことで、自社の現状をわかりやすく把握できます。
顧客分析では、提供している商品やサービスの売れる理由と売れない理由を明確にし、プロセスを深く掘り下げることができます。これにより、自社の市場における立ち位置、顧客のニーズとのズレなどを把握することができます。
同時に、顧客分析で現状を把握することで、将来的に打つべき施策の方向性が分かります。
例えば、提供している商品と顧客のニーズが一致していない場合、提供する商品の改善が必要になります。自社のサービスの認知度が高くない場合は、マーケティングの施策を変えていく必要があります。
②マーケティングの施策を改善できる
顧客分析によって、マーケティング施策を改善することができます。
顧客分析を通じて、アプローチするべき顧客のターゲットを定めることができます。どのような属性の顧客が商品を購入するのか、といった分析により、打つべきマーケティング施策を決定することができます。
またそれと同時に、今まで行ってきたマーケティング施策の費用対効果を整理することができます。これによって、実際に成果が出ている施策や、これから成果が上がると予想できる施策を評価することができ、注力することができます。
さらに、不必要な施策についても把握することができるため、無駄な予算を削減することができます。マーケティング施策を最適化し、効果を最大限に発揮できるように改善するためには、顧客分析は不可欠になります。
③業績UP、売上UPに貢献できる
顧客分析を通じて、自社の業績UPや商品の売上UPに貢献できます。
顧客分析で得た情報をもとに、マーケティング手法の改善を進めていくと、今まで発生していた無駄な費用を省くことができ、顧客をより多く獲得することができます。
また、商品やサービスの改善により、既存顧客の流出を防ぐことにつながり、売り上げを強固なものにすることができます。
こういった要素から、顧客分析は事業の業績を上げることに必要だと言えます。
3.顧客分析に使える代表的な手法
顧客分析の方法は様々ありますが、代表的によく使われている顧客分析の方法を紹介します。顧客分析の手法として以下の8つをご紹介します。
・デシル分析
・CTB分析
・セグメンテーション分析
・行動トレンド分析
・コホート分析
・NPS
・ツールを利用した分析
それでは、一つずつ分析方法やその特徴、使用シーンなどを解説していきます!
RFM分析
分析方法 | 「直近の購買日」「購入頻度」「購入金額」の度合いごとに顧客をランク付けし、グループ分けを行う |
特徴 | 顧客を細かいグループに分け、施策を最適化できる |
使用シーン | BtoCで購買率や顧客満足度を高めたい、優先する顧客を探すとき |
RFM分析は、 Recency (直近購買日) Frequency(購入頻度) Monetary (購入金額) の3つの軸で顧客を分類していく手法を指します。
購入金額が大きい顧客の中でも、過去1度だけ大きな買い物をしただけの顧客もいれば、高い頻度で多くの商品を購入してくれる顧客もいます。
RFM分析では、そのような購入日や頻度を含めてグループ分けを行うことにより、打つべきマーケティングの施策を最適化することができます。
顧客の特性を知ることで、それぞれの顧客に合ったアプローチが可能になることが、RFM分析の特徴です。
例えば、特定の商品が購入される頻度が分かれば、商品が売れ残ることの無いように仕入れの量やレイアウトを調節することができます。その結果、無駄な在庫や不利益を減らすことにもつなげられます。
デシル分析
分析方法 | 購入金額の多い順に顧客を10等分にグループ化 |
特徴 | 売上に貢献しているグループの特徴を簡単に分析できる |
使用シーン | 売上貢献度の高い顧客グループを知りたいとき |
デシル分析とは、購入金額の高い順に顧客を10のグループに分類する手法です。購入金額が分かれば顧客分析ができるため、エクセルなどで手間をかけずに分析をすることができます。
また、各グループの特徴を把握することで、費用対効果の高い施策を打つことが可能です。
例えば、10つのグループのうち上位2グループが売り上げの大多数を占めている場合と、下位2グループが売り上げの大多数を占めている場合では、ブランド力を上げるための戦略が変わってきます。
デシル分析では、どの層にアプローチしていけばより売り上げを伸ばすことが出来るのか、どの層の売り上げが少ないのかなど、今後の課題を考えるうえで非常に有益な情報を整理することができます。
CTB分析
分析方法 | 「分類」「デザイン・サイズ」「ブランド」にグループ分けを行い、今後の購買行動を予測する |
特徴 | 趣向の幅が広い商材(家具や服飾など)でも購入予測ができる |
使用シーン | 顧客の趣味や趣向に合わせたアプローチをしたいとき |
CTB分析は、Category(カテゴリ)、Taste(デザイン・サイズなどの趣向・テイスト)、Brand(ブランド)の3つの要素をもとにグループ分けを行う手法です。
顧客の趣味や趣向に合わせたアプローチをする際に活用できる手法になります。
たとえば洋服を扱う会社では、Category(カテゴリ)はトップス・ボトムス・下着といった種類での分類を行います。Taste(テイスト)はサイズ・色・形など、Brand(ブランド)はキャラクターや洋服自体のブランドで分類します。
顧客の趣味や趣向にをもとに顧客を分類することで、今後の購買予測を行い、それに沿った戦略を立てることができます。特に服飾や家具、食料品などを扱う企業では、こういった幅広い趣向についての分析が最適です。
セグメンテーション分析
分析方法 | 顧客の購買履歴からグループ分け、ペルソナを作成する |
特徴 | 顧客のニーズを非常に簡単に抽出できる |
使用シーン | 顧客分析を初めて行うとき、簡単に分析をしたいとき |
セグメンテーション分析は、既存顧客の購買履歴に関する情報から共通項を導き出し、自社がターゲットとすべき顧客像を作成する分析手法です。
購買履歴は、いつ・どこで・どんな商品を購入したかなど、購買に関する属性情報を指します。購買履歴を集めていくことにより、顧客が持つ共通の要素を発見することができます。
こういった既存顧客の要素を分析することで、類似性の高いグループにマーケティング戦略を展開することが可能です。
また、購買履歴がなくても、性別や年齢層といった属性情報でもグループ分けを行うことが可能です。この方法はそれほど難しくなく、もっとも単純で簡単な顧客分析の手法であるため、顧客分析を初めて導入するという企業におすすめの手法になります。
行動トレンド分析
分析方法 | シーズンの流行や季節ごとに売り上げが高い商品を分析する |
特徴 | 季節の変化や流行に最適化した情報を得られる |
使用シーン | シーズンごとに顧客の購買予測を立てたいとき |
行動トレンド分析とはシーズンの流行や季節の変化によって商品やサービスの売り上げを分析・予測することを指します。
時間の経過によって変化する顧客のニーズに合ったタイミングで販売戦略を仕掛けると、より商品の売れ行きが上がるだけでなく、売れない商品の量を減らすことにもつながります。
すべての顧客を対象にせず、より購買意欲の高い顧客のみを対象にして分析を行うとより正確な分析を行うことができます。特にシーズンに左右されやすい旅行業界やファッション業界におすすめの手法となっています。
コホート分析
分析方法 | 顧客をグルーピングし、購入後の行動・変化を分析する |
特徴 | 顧客の現状を深堀し、購入後の動きを見ることができる |
使用シーン | 顧客のLTV(ライフ・タイム・バリュー)を上げたいとき |
コホート分析とは、共通の属性をもつ顧客をグループ(コホート)に分けて、購入後の行動を長期に分析する手法です。
長期にわたって商品やサービスを利用する業態の企業では、コホート分析によって、時間軸と顧客行動の変化の関係を知ることができます。
例えば、ウォーターサーバーといった月契約で商品を販売する業態では、契約をいかに長く継続してもらえるかが重要になります。現状の契約がおおよそどのくらいで解約となるのか、属性によって違いがあるのか、といった側面で分析を行う必要があります。
コホート分析を使えば、上記の側面から分析をすることができ、顧客のLTVを改善するため情報を得ることができます。
NPS
分析方法 | 企業や商品への愛着を示すNPSの値を計測する |
特徴 | 商品をおすすめする既存顧客の存在規模を把握できる |
使用シーン | 収益性のある顧客を把握し、向上に努めたいとき |
NPSとはネット・プロモーター・スコアの略称で、顧客が自社の商品・サービスを他の人に紹介する意向があるかを示す値です。日本語では「顧客推奨度」と呼ばれることもあります。
NPSの調べ方は非常に単純で、顧客に「この商品・サービスを知人にどれくらいおすすめできるか」という質問を0~10の11段階で評価してもらうことで把握できます。
上記の質問に0~6と答えた人を「批判者」、7・8と答えた人を「中立者」、9・10と答えた人を「推奨者」と分類し、回答者全体に占める「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた値をNPSとします。
この数値が高いほど、再び購入してくれる顧客や、新たに紹介を受けて購入する顧客を期待することができます。反対に、この値が低いほど、新規顧客の獲得が難しいといえます。
ツールによる分析
分析方法 | アプリやITツールを用いて顧客分析を行う |
特徴 | 工数がかからず、より正確な顧客分析ができる |
使用シーン | 費用をかけてでもすぐに効果のある分析を行いたいとき |
上記7つのような分析は調査する期間もかかり、多くの作業を必要とします。そういったリソースが不足している企業向けに、顧客分析が可能なITツールが多く提供されています。
ITツールを導入することで、人員不足でも適切な顧客分析が可能です。また、分析結果の信頼性も非常に高く、的確な対策を講じることができます。
それぞれのツールごとに特徴が異なり、費用面でも様々な違いがありますので、ここではおすすめのツールを3つほどピックアップしてご紹介していきます。
4.顧客分析ができるおすすめツール
売上向上には、顧客情報をしっかり分析・活用していけるかどうかで、企業が成長出来るか、売り上げを伸ばせるかがわかれます。
顧客情報は経験や肌感覚だけでは測りきれないところがあります。経験や感覚は残しておきながらも、専用のツールを活用して分析するのがおすすめです。
専用ツールであれば、顧客データや行動データが一元化でき、的確な対策が講じられます。
お勧めツールはこちらです。
・FORCAS
・KAIDEL
それでは、一つずつ詳しい内容を見ていきましょう。
Tableau
URL | |
費用 | 1ユーザー22000円/年~ |
特徴 | ・世界で100万人以上が使用しており、巨大なコミュニティがある ・様々なツールとAPI連携可能、Einstain AIによる分析が可能 ・モバイルにも対応、無料トライアルあり |
「Tableau」は世界中で利用されている顧客分析プラットフォームです。個人向けから法人向けまで多くの利用プランが用意されており、機能別の利用も可能です。
Salesforceを代表とする外部ツールとの連携も可能で、組み合わせるとより幅広い活用ができます。特にAIによる詳細な分析ができるという特徴を持っています。
FORCAS
URL | |
費用 | 不明(固定月額制) |
特徴 | ・マーケティング、営業それぞれに適した利用プラン ・社内の顧客情報を統合する機能があり、制度が高くなる |
「FORCAS」は150万社以上の企業データベースをもつB2B向けの顧客戦略プラットフォームです。独自の業界区分やシナリオデータなども保有しており、データが少ない場合でも分析が可能です。
また、高精度のアルゴリズムにより成約確度の高い潜在顧客リストを自動生成する機能を持っており、より受注につながりやすい提案をすることができます。
「名寄せエンジン」によって社内に点在する顧客情報を統合し、精度の高い顧客データを作成できるもの「FORCAS」の大きな特徴です。
KAIDEL
URL | |
費用 | 200万円~ |
特徴 |
・AIスコアリングエンジンにより、優良顧客を正確に予測 |
「KAIDEL」は凸版印刷が運営しているAIサービスです。顧客情報を自動でスコアリングすることで、施策に反応する率が高い顧客を予測し、限られた予算内で精度の高い施策を実行することができます。
また機械学習によってデータ集計から分析実行まで自動化してくれるので、その分のコストを減らすことができます。
その他の顧客管理ツールを詳しく知りたい方は【顧客管理(CRM)とは?プロ推奨システム10選を解説!】をご覧ください。
5.顧客の潜在ニーズを分析するには?
潜在ニーズを詳しく調査することは、顧客分析で確かな結果を得るために欠かせません。
顧客からの生の声を基に顧客の購買頻度や年代、性別などを分類し、その中からどのような商品を好み、求めるものはなにかを分析していくことで、トレンドや価値観を知ることも出来、次の商品開発や企画に生かせます。
顧客と対話する際の状況を記録しよう
表面上に出ているデータだけを使用すると、正確に顧客の潜在ニーズを分析するのは非常に難しくなります。
顧客が気づいていない潜在ニーズを見つけるためには、顧客の対話や顧客との関係の中で判明する事実や、顧客との対話状況などを記録していくことが重要になります。
具体的には、以下のように記録に残しておくとよいでしょう。
・顧客との対話や雑談で話した内容を記録する
このような情報は属人化、要するに1人だけが持っている情報になりがちです。
一方こういった情報を共有することで、見る人によって受け取り方が変わり、今まで気づけなかった側面を発見することができます。
6.まとめ
いかかでしたか?それでは今回の記事の内容をまとめていきます。
顧客分析は販売戦略やマーケティング施策を決めるうえで非常に重要になります。
記事の情報を活用して、より多くの側面で顧客分析を進めていくようにしましょう!