フィールドセールスやインサイドセールなどの営業モデルについて徹底解説!

2020年09月14日(月) 横溝 竜太郎

フィールドセールスやインサイドセールなどの営業モデルについて徹底解説!

皆さんは、フィールドセールスという言葉をご存じでしょうか? フィールドセールスやインサイドセールスは、近年の営業モデルに用いられることも多く、その内容についてしっかりと理解しておきたいところです。

そして、営業をプロセスに分け、数値化や可視化を行うことで、業務の効率化を図り、高い成果を上げるといった分業型の営業を取り入れる企業も多くなっています。

今回は、

  • 従来型、分業型などの営業モデルについて
  • フィールドセールスやインサイドセールスの意味、二つの連携
  • 営業モデルに向いている商品やサービス

などについて徹底解説します。記事後半では、おすすめの書籍についても紹介していますので、皆さんもぜひ参考にしてみてほしいと思います。

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営業モデルについて

日本における営業モデルは、近年、大きく変わりつつあります。日本では、長い間従来型の営業モデルが主流となっていました。

しかし、SaaSやサブスクリプションを導入する企業が増え、人材の流動化が進んでいることなどを背景に、営業マン一人当たりの負担が多いとされる従来型は、人材育成に非常に多くの時間やコストを要するということもあり、多くの企業で見直されています。そして、従来型から部門毎のプロフェッショナルを育成し、各段階での生産性を高めるような分業型の営業モデルへとシフトしていくという企業も少なくありません。

ここからは、THE MODEL型(分業型)と従来型の営業モデルについて詳しく解説します。

THE MODEL型(分業型)

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THE MODELは、米国に本社を構えるセールスフォース・ドットコムで活用されていた営業モデル。セールスフォース・ドットコムに以前勤務し、株式会社マルケドの日本法人代表を努めた福田康隆氏による著書『THE MODEL』(2019年1月)の発売により、日本にも広く浸透しました。

潜在顧客の獲得や見込み客の育成、受注、契約継続などの営業におけるプロセスを社内で振り分け、プロセス毎に情報の可視化や数値化を行うなど、高い成果を上げるためのフレームワークであるのが、THE MODEL。日本では、営業における全てのプロセスを、ビジネスマンが一人で担うということも多くありますが、THE MODELは、一人で全てを担当することはなく、プロセスを分業し、部門毎に特化した人材を配置するなど、営業における仕組化を徹底しています。

THE MODELの営業プロセスは、以下の4つの段階に表されています。

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4つの段階では、それぞれに「母数」「成功率」「獲得数」が表され、一つの段階の獲得数=ゴールは、次のステップの母数となるように設定されています。次のステップへ行くには、前段階での目標達成が必要となり、各部門で確実に目標を達成していくことが、全体を通して確実に成果を上げることへと結びついていくのです。

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  • 潜在顧客の獲得

潜在顧客とは、自社の商品やサービスを知ってもらうことで、見込み客となる可能性がある人のことを指すもの。企業は、潜在顧客に商品やサービスを知ってもらうきっかけを提供し、そこから見込み客を見出します。そして、ここで獲得した見込み客数は、次の段階の母数となります。

来訪者数×獲得率=見込み客数

企業は、まず潜在顧客の特性を分析し、ターゲット層を絞り込んでいかなければなりません。そして、ターゲット層に自社の商品やサービスを認知してもらえるようPRをします。具体的には、オウンドメディア、ホワイトぺーバー、セミナーや展示会、テレアポ、リスティング広告などターゲット層に合ったマーケティングを行い、そこから出される内容を数値化、可視化し、見込み客のリスト化などの業務を実施していく部門となります。

  • 見込み客の育成

第二段階では、前段階で獲得した見込み客数が母体となり、次の段階に案件として渡せるよう見込み客を育成。いわゆるインサイドセールス=内勤型営業が、この段階になります。

見込み客数×案件化率=案件数

具体的には、リスト化された見込み客に、電話やDM、Eメールなどでコンタクトをとり、会話をする中で、興味本位、情報収集をしている、明確な購買意欲があるなど、相手のニーズの度合いを図ります。その中で、優先順位が高いとされる見込み客からアポイントを取り、次の段階へトスアップするのです。

確度の高い状態で次のプロセスに案件を渡すことが重要になる一方で、優先順位の低い顧客への継続した対応も、重要な役割となります。電話やDM、Eメールなどで定期的に有益な情報を発信し続け、顧客をフォローしていくなど、潜在ニーズが顕在ニーズに変わるよう、関係を保ち続けていくことも大切になります。

  • 案件管理

案件管理では、前段階で獲得した案件数が母体となり、受注率を上げていくためにフィールドセールス=外勤型営業が動いていきます。

案件数×受注率=受注数

ここで重要になるのが、案件に至るまでの詳細な経緯など見込み客の情報をしっかりと共有していくということ。インサイドセールスからフィールドセールスへと情報をくまなく伝えることで、資料作成など顧客毎に必要な情報の準備を滞りなく行うことができ、結果として、商談がスムーズに進み、高い収益を上げることに結びつきます。

  • 契約継続/追加

当然ながら営業活動は、契約すれば終わりという訳ではなく、その後の契約継続数も追っていかなければなりません。

受注数×更新率=継続数

受注数が母体となり、契約後の顧客の離脱率や定着率を数値化。そして、問い合わせへの適切な対応、新しい商品の提案など継続数や新規の受注を上げるためのカスタマーサクセスの役割を担っていくのが、この部門となります。

従来型

従来型の営業モデルは、新規案件の発掘、取引先への訪問、提案、交渉、契約成立までを全て一人の営業マンが行うといった外勤型営業のことを指しています。日本で長い間主流とされてきた従来型では、「ご挨拶」に伺うという名目の訪問も、多くの人が経験していることでしょう。

この手法は、訪問先への移動時間や確度の低い顧客へかける時間などを考慮すると、営業マン一人当たりの負担が大きく、本質的な営業活動ではないことに時間がとられてすぎてしまうというデメリットがあります。近年は、人的リソースを策定する企業も増えており、このような従来型の営業スタイルで成果を上げるのは、時代に即さないといったことも多くあるようです。

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フィールドセールスとは何か?

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フィールドセールスは、顧客の元へ直接訪問し、商談をするというような外勤型営業のことを指します。営業マンが一人で一日に何件もの取引先を周るのは、当然ながら時間に限りがあり、一日の訪問数にも限界があるといえます。

そして、テクノロジーの発展により、企業間では、メールやWEB会議の利用が頻繁となり、多くの場面で、直接訪問しなくても顧客とのよりよい関係を築くことが可能になりました。そのため、多くの人材が必要になるフィールドセールスは、ケースによって非常に効率が悪い手法となってしまうこともあるのです。

インサイドセールスとは何か?

インサイドセールスは、アメリカで生まれた営業モデルであり、いわゆる内勤型営業のことを指しています。国土の広いアメリカでは、少ない営業資源を最も効率よく最大化するために、電話による営業スタイルが主流となっていました。訪問先への移動時間や確度の低い顧客へ割く時間などを考えると、インサイドセールスは、大幅な時間の削減となり、営業活動に集中できる効率的な手法となるのです。

そして、インターネットの浸透により、顧客の購買行動は、変化を見せています。WEB上では、欲しいものや情報が必要な時に手に入ります。必要なものをスマホで調べ、その場で購入する、WEBサイトやWEB広告、SNSなどから商品を知り、ファンになるなど、購買行動は、一昔のそれとは大きく異なります。このような購買行動の変化やメール、WEB会議による顧客との関係の構築、SaaSの台頭などを背景に、多くの企業でインサイドセールスが取り入れられるようになっているのです。

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インサイドセールスとフィールドセールスの連携について

現在では、インサイドセールスとフィールドセールスのどちらか一方の手法を取り入れるのではなく、二つを連携させる分業型の営業が増えています。前項で解説した『THE MODEL』が、まさにこの二つを取り入れた手法。THE MODELでは、プロセスに、インサイドセールスとフィールドセールスを組み込んだフレームワークを示しています。

例えば、インサイドセールスを行う10名の人間が、一人当たり5,000万円を計上し、全体で合計5億円の売上を出したとします。これにフィールドセールスの人間が5名加わり、営業を分業。分業により、個人の生産性は向上し、一人当たり8,000万円を計上。そして、全体としての総売り上げは、合計12億円になるなどといったことも、可能となるのです。

つまり、業務に関わる全体数が多くなったとしても、各部門にいる一人一人が最大限のパフォーマンスを発揮することにより、結果として、大きな収益を生み出すことができるのです。

分業型営業に合う商品・サービス

 

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分業型営業は、クラウド上でのファイル編集や共有など、企業が直接所有することなく、サービスとして提供するタイプのソフトウェアであるSaaSに向いています。そして、SaaSは、サブスクリプションサービス(定額料金を支払うことで、一定期間のサービスが受けられる)を提供していることが多くなっています。

売り切り型ではないため、製品を顧客に導入してからがスタートとともいえるのが、SaaS。そのため、SaaSでは、顧客の声をフィードバックし、適宜製品を改良する、導入後の適切なサポートを行うなど顧客満足度を高めていくカスタマ―サクセスが非常に重要となるのです。つまり、数を多くこなせば、売上に繋がるといった従来型営業で結果を出すことは難しく、潜在顧客獲得におけるマーケティング力、契約後も継続的に商品やサービスを利用してもらうための提案力やサポート力などの強化が必要であり、分業における営業が非常に有効となります。

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従来型営業に合う商品・サービス

従来型営業に合う商品やサービスには、

  • 個人事業主向け商材
  • 店舗向け広告媒体
  • 企業向け汎用部品
  • 高額商品、ソリューションのアカウント営業

などがあります。従来型の営業は、一人の営業マンが一日に多くの顧客リストを回るため、商談におけるリードタイムが短く、一人の営業マンができる提案数が多く、顧客側の意思決定におけるプロセスがシンプルであるほうがよいといえます。

商談の際のリードタイムが短いということは、その分、営業マンが一件の顧客へ割く時間が短くなるということ。そして、顧客側の意思決定におけるプロセスがシンプルであるということは、提案内容がスムーズに受け入れられやすく、成約へと運ぶ可能性が高くなると言えます。これらに該当するのが、個人事業向け商材や店舗向け広告媒体などであるのです。

例えば、商店など町の店舗にエリア営業をかける場合は、顧客との接点をできるだけ増やし、エリア内シェアを高める必要があるでしょう。こういった場合には、やはり対面での商談が最も合うといえます。従来型は、できるだけ短時間に多くの顧客リストを周り、クロージングをかけ、受注率を上げたい場合などに非常に適しているのです。

また、企業向け汎用部品などは、商品説明が非常に複雑で難しく、専門性の高い分野であることも多いといえます。このようなケースでは、一人の営業マンが、顧客との綿密なコミュニケーションを図り、商品について説明していくというような従来型のほうが向いている場合も少なくありません。

しかし、従来型に向いているとされる商品やサービスでも、場合によっては、継続的にインサイドセールスでアプローチをかけ、見込み客を育成してから、フィールドせールスに渡すと言う手法を補助的に使うと言ったケースも有効になることがあります。

絶対にこちらの手法が向いているといったことはなく、企業は、提供する商品やサービスに最も合う手法を見つけ、企業独自の営業における仕組みを構築していくとが大切。そのためには、購買行動の変化を読み取るなど社会の流れを敏感にキャッチすることも、忘れずに行っていきたいものです。

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お勧め書籍

ここからは、営業におけるおすすめの書籍を二冊紹介します。

①THE MODEL

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THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス 福田康隆(著)|amazon

こちらは、本記事でも紹介してきた分業型の営業モデルについて書かれた本。米国企業のセールスフォース・ドットコムを経て、マルケト日本法人代表を努めた福田康隆氏が提供するTHE MODELは、本書によって日本のビジネスマンに広く浸透したといえます。

「営業が顧客に初めて接触するとき、すでに商談プロセスの半分以上は終わっている」という本書の言葉が意味するように、時代の流れと共に変革を迫られているのが、営業活動。分業型営業の基本として、ビジネスマンが一度は手に取りたい本となっています。

②カスタマーサクセス

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カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則 ニック・メータ ダン・スタインマン リンカーン・マーフィー他(著)|amazon

こちらは、サブスクリプション時代のカギを握るといわれるカスタマーサクセスのバイブルとなる本。カスタマーサクセスの最前線で活躍する著者らが、本書の中で、顧客の成功における実践的な10の原則について解説しています。本書を読むことで、事業と組織の最適化や既存顧客の保持など、これからのビジネスの在り方を理解することができます。

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課題

上述のとおり、商品・サービスによって「THE MODEL型」、「従来型営業(OLD営業)」に適合するかどうかについては、検討が必要です。特に近年一気に広まってきた「THE MODEL型」を採用した企業の課題として、以下の点があります。

①分業制の弊害

各フェーズで分業化したことにより、KPIを部門最適で考えてしまう傾向が出てしまうことがあります。例えば、見込み客数×案件化率=案件数

のフェーズにおいて、案件数が増えないという課題に対し、案件対応の「インサイドセールス部門」と見込み客を集める「マーケティング部門」の対立等のケースが多発しています。

「見込み客の質が悪い」と集客主担当のマーケティング部門をインサイドセールス部門は、非難しますし、マーケティング部門は、インサイドセールス部門の対応、トークスクリプトが良くないのではないか?とお互いに責任のなすりつけが起こっています

このような課題に対しては、スタッフレベルでは、「マーケティング部門」と「インサイドセールス部門」の両方を担当、経験させる等の対応策、マネージャーレベルでは、部門をまたがったマネージャーに責務を追う事で、対応するなどの策がありますが、KPIの設定の仕方に苦慮されているケースが多いです。

「従来型営業(OLD営業)」の課題としては、新規顧客をいかにして獲得していくかということに苦慮されている会社が多いです。ただし、「THE MODEL型」の組織においても、同様に、新規顧客獲得は難しいです。新規顧客獲得は、一般的に「マーケティング部門」の仕事だからです。ただし、「従来型営業(OLD営業)」組織は、このような課題に対しては、新規顧客獲得のターゲットをABM(アカウントベーストマーケティング)施策を用い、DM、セミナー、アウトバウンドコールといった、オールドな手法でKPIを定め、担当インダストリーを割り振り、粘り強く運用していくことで、成功をおさめている企業もあります。

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まとめ

いかがでしたでしょうか? 近年は、購買行動や社会情勢の変化などにより、営業の在り方そのものが、多くの企業で見直されています。「営業を科学する」という言葉にもあるように、分業型の営業モデルでは、営業をプロセスに分け、各段階での数値化、可視化を徹底し、一人当たりの生産性を向上させることで、最小限のリソースで、最大限の成果を上げることができるようになっています。

このような営業モデルを自社の商品やサービスに合うように上手く活用することで、企業は、高い成果を上げることができるでしょう。そして、営業活動をより効率的に動かしていくために、営業支援ツールを導入する企業も増えています。営業支援ツールには、スマホなどでも使える「cyzen」がおすすめ。cyzen」などの営業支援ツールを活用し、多くの企業で生産性が向上し、高い成果が得られると、嬉しく思います。

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