「KPIとはそもそもどんな指標?」 「KPIをどのように設定すべきかわからない...」 KPIは営業現場でよく使われる指標ですが、どのような指標でどう活用すべきかわからない方も多いのではないでしょうか?KPIは設定するコツを押さえ活用することで、進捗状況の把握や業務改善などに役立ちます。
今回はKPIに関して以下のポイントを解説します。
今回の内容を参考にすることで、KPIの概要や効果的な設定方法を理解できます。KPIについて詳しく理解し営業活動に活かしたい方はぜひ参考にしてみてください。
KPIとは?
KPIとは「Key Performance Indicator」の略語で、目標達成に必要なプロセスを適切に評価するための指標です。日本語では「重要業績評価指標」とも呼ばれます。
KPIは期間を定めて設定されることが多く、日次・週次・月次など期間ごとに目標設定されるのが一般的です。期間ごとにKPIの達成度を評価し、数値が悪い場合は改善策を実施します。 営業現場で設定されるKPIとして代表的なものは以下です。
- ・訪問回数
- ・成約数
- ・成約率
上記の指標は、最終的な目標である売上額を達成するためのプロセスを評価できる指標としてよく使われるものです。
このように目標に対するプロセスを適切に評価する目的でKPIが設定されます。
KPIを設定する目的
KPIを設定する目的として「プロセスの進捗状況を正確に把握すること」が挙げられます。
業績やプロジェクト、個人の活動で「どの程度進捗しどのような成果が出ているか」という途中経過を把握するには、目標を設定し測定しておく必要があるでしょう。プロセスの進捗状況が悪ければ軌道修正する必要があり、その際の改善案もKPIを設定しておくことで立案しやすくなります。
プロセスの進捗状況を把握し適切に業務を進めるためにもKPIの設定が重要です。
KPIを設定するメリットや効果
KPIを設定するメリットや効果としては以下が挙げられます。
- ①チームの進捗状況がわかる
- ②個人目標が明確になる
- ③業務の的確な改善ができる
- 平等な評価基準ができる
それぞれのメリット・効果について詳しくみていきましょう。
①チームの進捗状況がわかる
KPIを設定することでチームの進捗状況が把握しやすくなります。
大企業など組織の規模が大きくなればなるほど、さまざまなタスクが乱立し進捗状況を把握しにくくなります。KPIを設定することで明確な基準でプロセスを可視化でき、チーム内でタスクが乱立しても瞬時に状況判断できるでしょう。
KPIの設定はチームの進捗状況の把握をしやすくなり、業務の効率化に貢献してくれます。
②個人目標が明確になる
個人目標が明確になることもKPIのメリットです。
KPIを設定することでプロセスごとの目標を明確にでき、やるべき行動も把握しやすくなります。最終目標を達成するための段階的な目標を設定し、モチベーションが維持しやすいのもメリットです。
たとえば、「1年間で5000万円の売上をあげる」ことだけを目標とするよりも「今月に10件成約させる」といったプロセス目標を設定した方が、何に取り組むべきか迷いが出ずスムーズに業務に取り組めます。
KPIは個人目標を段階的に明確にでき、モチベーション高く業務にのぞめるでしょう。
③業務の的確な改善ができる
KPIを設定することで、業務の的確な改善ができます。
KPIを活用すれば、どのプロセスに問題があるか数値で明確に把握でき、効率的に課題発見から改善策の立案・実行まで行えるでしょう。
たとえば、問い合わせ数は問題ないものの成約率が低い場合は、問い合わせから成約に至るプロセスに問題があることが分かります。
KPIを設定することで素早くプロセスの課題を発見でき、的確に業務を改善できるでしょう。
④平等な評価基準ができる
平等な評価基準ができることもKPIのメリットです。
企業によっては評価基準が曖昧で数値化されていないケースもありますが、不透明な評価体系は社員からの信頼を失いモチベーションや業務効率の低下を招きます。
KPIで客観的な数値目標を設けることで、平等な評価基準にでき、評価の「見える化」を実施できるでしょう。評価の透明性が担保できれば、従業員の納得感を得られ前向きな業務活動を促せます。
KPIを適切に設定し、平等な評価基準を設けましょう。
KPIとKGIの違いとは?
KPIとKGIの違いは、目標とする項目に違いがあります。
KGIとは「Key Goal Indicator」の略で、企業や組織が設定する最終的な目標を計測するための指標です。KPIがプロセスを評価するのに対し、KGIでは最終的な目標を評価する指標となっています。
たとえば、KPIでは「訪問回数」や「成約数」などのプロセス評価の指標が設定されるのに対し、KGIでは「売上高」や「利益率」といった最終目標が設定されます。
KPIとKGIでは誰でも同じ基準で判断できるよう、具体的な数値目標を設定することが重要です。
KPIの設定方法と手順
①KGIを決める
まずはKGIを設定します。最終的な目標を表すKGIが設定されていないと、やるべきプロセスや行動を明確にできず、的確なKPIを設定できません。
効果的なKPIを設定するためにも、KGIは具体的な数値を含めて設定しましょう。
たとえば、「来年度は今年度の20%売上増加を目指す」と数値で設定することで、その後のプロセスも明確にしやすくなります。
KGIを具体的な数値で設定し、的確なKPIを設定できる土台を作りましょう。
②最終目標から逆算して必要なプロセスを洗い出す
KGIを設定したら、最終目標から逆算し必要なプロセスを洗い出しましょう。
最終目標達成に必要なプロセスを洗い出すことで、無駄なタスクを減らし業務を効率化できます。また、最終目標達成に関係のないタスクが多くあると、リソースが分散してしまい、1つ1つの作業の質が落ちる可能性もあるでしょう。
最終目標達成に関連する重要なプロセスのみを洗い出し、成果につながりやすいKPIを設定しましょう。
③細分したプロセスを数値化する
プロセスを洗い出した後、それぞれのプロセスを数値化します。
プロセスの数値化の例として、営業部門の売上目標を例に紹介します。
「売上=受注数×受注単価」
さらに細分化すると
「売上=(訪問数×受注率)×受注単価」
最終目標である売上(KGI)を達成するには、訪問数・受注率・受注単価を数値化しプロセス目標(KPI)として達成する必要があるでしょう。
このように細分化したプロセスごとに数値目標をKPIとして設定します。
④業務に落とし込み設定する
最後に、業務に落とし込み設定していきます
先ほど紹介したプロセス数値化の例でいくと、目標とする訪問数達成のために「テレアポ」や「DM」などによるアポイント取得が必要となるでしょう。このようにKPI達成に必要な業務を洗い出し、その業務ごとの目標も数値で設定していくのがおすすめです。
KPIを設定するだけでなく、達成に向けて必要な業務を洗い出し実行しましょう。
営業活動で決めておきたいKPI
リード獲得数
営業活動で決めておきたいKPIとして「リード獲得数」が挙げられます。
リードとは自社に興味があり将来顧客になりうる見込み客のことで、見込み客を見つけ出すことがリード獲得です。リードを獲得し信頼関係を構築することで、新規顧客獲得や売上増加につながるため、リード獲得数は非常に重要な指標と言えます。
特にリード獲得はマーケティング施策を考える上で重要なステップとなるため、KPIとして設定しておくべき指標と言えるでしょう。
接触数
接触数も設定すべきKPIとして挙げられます。接触数とは、商談やホームページなどを通してユーザー・顧客と接触した回数のことです。
接触数は顧客やユーザーとの信頼関係の構築度合いを示す指標として使えます。相手に接する回数が増えることで警戒心が薄れ相手への評価が上がる単純接触効果が期待できるからです。
ただしこの単純接触効果は10回が効果の上限となっており、回数が多いほど良いわけではないため、注意しましょう。
AP化率
AP化率とはアポ獲得率のことで、電話やメールなどのアプローチからアポイント獲得に至った割合を指します。AP化率を向上させることで、少ないアプローチで商談につなげられ営業活動の効率化につながるでしょう。
特に営業プロセスにおいて、見込み客・新規顧客獲得の評価をする上で重要な数値です。AP化率向上の施策に取り組むことで、結果的に売上アップにもつながるため、KPIとして進捗を把握したい指標と言えます。
有効商談数
営業活動では有効商談数をKPIとして設定するのがおすすめです。
有効商談数とは、受注や契約につながるなどの有効な商談を指します。有効商談数をKPIに設定することで、「とりあえず話だけ聞く」という見込みの薄い商談を減らし、商談の質向上や営業活動の効率化につながるでしょう。
ただし、有効商談の定義や基準は企業によって異なるため、何を持って有効商談とするか事前に決めてからKPIを設定するのがおすすめです。
顧客化率
顧客化率とは商談に進んだ案件のうち、商品の購入や成約に結びついた割合を指します。
たとえば、100件商談したうち10件成約した場合は顧客化率は10%です。顧客化率をKPIに定めることで、売上予測も立てやすく営業戦略の策定や見直しをしやすくなります。また、顧客化率を向上させることで少ない商談数で効率よく売上をあげられ、売上目標も達成しやすくなるでしょう。
売上に直結する重要な指標であり、KPIとして設定しおきたい項目と言えます。
リードタイム
リードタイムもKPIとしておすすめの指標です。リードタイムとは一般的に「発注してから納品されるまでの時間」を意味しますが、営業活動の場合、「リード(見込み客)を獲得してから受注するまでの時間」を意味します。
リードタイムを短くすることで、購入意欲の高いうちに見込み客へアプローチし成約に結びつきやすくなるでしょう。また、リードタイムが短ければ顧客1人にかける時間も短くなり、より多くの営業機会を獲得できます。
リードタイムも売上に直結しやすい指標であり、設定しておきたいKPIの1つです。
顧客単価
KPIとして顧客単価も設定しておきましょう。
顧客単価を上げられれば、同じ顧客数でもより大きな売上を上げられます。たとえば、10万円の商品を10人に販売していた場合、15万円の商品を同じ顧客に販売すれば合計50万円以上も売上が大きくなります。
顧客単価を上げられれば、それだけ少ない労力で売上を上げられるので、KPIとして管理し営業活動を効率化させたいところです。
LTV
KPIで設定する項目として最後におすすめするのがLTVです。
LTVとは「Life Time Value」の略語で、顧客が取引を開始してから終了するまでの間に、どれだけ自社の利益に貢献してくれたかを示す指標です。新規顧客の獲得は既存顧客で売上をあげるのに比べ5倍のコストがかかるとされ、既存顧客の継続購入を促した方が効率よく売上を挙げられます。
LTVを指標とすることで、既存顧客への施策がうまく行っているかを判断可能です。また、LTVを向上すれば、長期的かつ安定的な売上を確保できるでしょう。
既存顧客への施策状況を判断する指標として、LTVをKPIに設定するのがおすすめです
KPI設定の注意するべきポイント
KPIを設定する上で注意したいポイントは以下の通りです。
- ①最終目標に即した設定にする
- ②KPIの数は最低限にする
- ③責任の所在は明確にする
- ④KPIに期限を設ける
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
①最終目標に即した設定にする
KPIを設定する際は、最終目標に即した設定にしましょう。
最終目標(KGI)に関連しない指標をKPIに設定してしまうと、KPIの達成が最終目標の達成につながらず、設定した意味が薄れてしまいます。先述した通り、KPIは最終目標から逆算し、必要なプロセスを数値化しKPIとして設置することが重要です。
KPIを設定する際は、KGIに関連したものかを必ず確認するようにしましょう。
②KPIの数は最低限にする
KPIの数は最低限にすることが大切です。
KPIをあまりに多く設定しすぎてしまうと、やるべきタスクが無尽蔵に増え、達成が難しくなります。設定するKPIの数は3〜5個程度で必要最小限に絞り、適切にKPIを運用することが大切です。
また、KPIを設定した際は社員に項目の説明をし、達成するメリットについて理解してもらいましょう。達成するメリットが理解できれば、KPI達成に向けて自発的な行動を促せます。
③責任の所在は明確にする
KPI設定では、責任の所在を明確にしましょう。
KPIを複数個設定している場合、全てのKPIを1人で管理するのは非効率的であり、各指標ごとに責任者を設けた方が効率的に管理できます。それぞれのKPIの責任所在を明確にすることで、進捗が悪い場合も意思決定をスムーズに行い、素早く改善策を実行できるでしょう。
KPIでは誰がどの数値を管理しているか明らかにしておくのがおすすめです。
④KPIに期限を設ける
KPIには期限を設けましょう。
KPIに期限を設けない場合、他の緊急業務の対応が優先され、いつまでも目標が達成されないままとなってしまいます。また、KPIの進捗状況を把握するためにも期限の設定が必要です。
KGIの達成期限から逆算し、KPIの期限も必ず設定しましょう。
設定したKPIを活用するポイント
設定したKPIを有効活用するポイントとして以下が挙げられます。
・KPIをチームで共有する
・進捗と結果を長期的に管理する
・状況に応じて設定変更をする
・定期的な振り返りを行う
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
KPIをチームで共有する
まずKPIはチームで共有することが大切です。
組織で定めたKPIを達成するには、チームで活動することが重要となります。KPIの進捗状況はチームで共有し、達成に向けた行動をチームで常に意識することが重要です。また、KPI達成に向けた各自の行動を共有することで、業務の重複など無駄を防げます。
KPIの情報共有にはチャットツールや社内ポータルサイトなどを活用するのが便利です。常にKPIの進捗状況を共有し、目標達成に向けた行動を確実にできる環境を整えましょう。
進捗と結果を長期的に管理する
KPIの進捗と結果は長期的に管理しましょう。
KPIを数日など短期間だけ管理しても、以前と比べ良くなったのか悪くなったのかがわからず、改善指標として有効活用できません。基本的には最終目標の期日まで長期的に進捗や結果を管理しましょう。
長期的にKPIのデータを残しておけば、有効なマーケティング施策の立案などにも活用できます。
状況に応じて設定変更をする
状況に応じてKPIを適切に設定変更しましょう。
市場環境や競合他社の状況は常に変化しており、自社の事業戦略もそれに合わせて変わっていきます。KPIとして定めていた項目も外部環境の変化に合わせる必要があり、現在の環境下で適切なKPIか常に確認し適宜修正することが大切です。
適切な営業活動が行えるKPIが設定できるよう、KPIを見直せる体制を整えましょう。
定期的な振り返りを行う
KPI設定後は定期的な振り返りも重要です。
KPIは目標達成に向けたプロセスを評価する指標であり、数値が悪い場合は改善策を立案し実行する必要があります。KPIの数値を定期的に振り返り、営業活動改善を改善できる体制を整えましょう。
KPIの定期的な振り返りを行うことで、結果として業務改善や売上向上に貢献できます。
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まとめ
KPIを設定することで、目標の明確化や業務の的確な改善ができるなど多くのメリットがあります。KPIの設定はKGIから逆算し、必要なプロセスを洗い出し数値化することが大切です。自社の目的に合わせ、営業活動に最適なKPIを設定しましょう。
また、KPI設定後はチームで情報共有し常に設定変更できる体制を整えることも重要です。
KPIを活用し、効率的に自社の売上を拡大させましょう。