本記事ではチームワークについて解説しています。仕事でチームワークを高めると生産性の向上につながるその理由とは?得られるメリットと築くための4つのポイントを紹介します。
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INDEX
1. チームワークとは?ビジネスにおける意味と使い方
チームワークとは、直訳すると「集団で行う仕事」となります。ビジネスにおいては、チーム内の各員が目標達成のため、お互いの弱みを補いつつ強みを高め合うことによって、相乗的な力や効果を生み出しつつ共同作業を行うことを指します。
チームワークを発揮することにより、個人ではやり遂げることのできない大きな仕事をチームメンバーとの連携によって実現することができます。
チームによく似た言葉にグループがあります。どちらも複数のメンバーが共同で課題に取り組むわけですが、組織行動学ではこの二つの用語を全く別のものとして扱い、次のように定義しています。
チーム | グループ |
---|---|
|
|
チームが重視するのは共通の目標をいかに効果的に達成できるかであるのに対し、グループが重視するのは個人の成果を高めることだと言えます。
ただ人数をそろえて仕事を行うのではなく、目標に向かって最大限の能力を発揮した仕事を行うのがチームワーク、ということになります。
2. 仕事でチームワークが大切な理由

仕事の上でチームワークが重要な理由は、個人プレーだとしてもチームでの仕事だとしても、チームワークがよい職場の方が生産性が高いためです。
"チームによる働き方は現代の企業で重要さを増している。伝統的に日本企業では従業員による協力的な働き方が定着しており,海外からも注目されてきた。近年の米国や英国の調査でも少なくとも半数近い企業がチームによる働き方を導入していると答えるなど,チームワークは日本に限らず多くの企業で採用されている。"
石原章史氏「チームワークの効果と課題—組織の経済学の観点から」より引用
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2020/07/pdf/024-036.pdf
2020年に書かれた上記の論文でも、チームワークの重要性は非常に高く、日本をはじめ海外でも広く認識されていることが明らかになっています。チームワークがよい職場は効率性の高い職場であると言えます。
チームワークが重要視される背景
チームワークが重要とされる背景としては、グローバル化や技術革新により、年々ビジネスモデルの複雑化が進んでいることが挙げられます。
近年は、多様な価値観やバックグラウンドを持つ人と働く場面が増加しており、さらに日々発生する課題も、一筋縄ではいかない複雑なものが増えています。
こうした変化を受けて、企業内では新しい課題に対応するため、部門・チーム横断のプロジェクトやタスクフォースが発足されるようになりました。
個人の能力には限界があります。よって、部門を問わずメンバーを集め、協働で仕事を進めるようなチームが発足する事例が近年増えつつあります。
チームワーク事例
〜チームワークが企業を成長させる〜
チームワークへの理解を深めていただくために、チームをうまく機能させている企業の事例をご紹介します。
①仕事の成果を“We did”で共有し団結力を高める
外資系コンサルタント会社として有名なK社は、個人プレーというイメージが強い外資系でありながら、チームワークを重じる社風です。
なぜならK社が相手にするのは企業の経営層であり、業務範囲は、事業規模拡大のための戦略立案や収益化に向けた経営分析など多岐にわたります。そうした仕事をたった一人でこなしていくことは実質的に不可能です。
そのため、K社では「I did(私がやった)」ではなく、「We did(私たちがやった)」というスローガンを何よりも大事にしているといいます。
K社では、クライアント業務のみならず、社内業務もチームによって運営されています。どんなに困難な課題でも、チームメンバー全員の力を結集させれば解決力は高まります。
仕事の場で達成できたことについては、つい「自分がやった」という気持ちになってしまうものですが、そうではなく「全員でやった」という気持ちを持つことで組織全体の団結力を高め、お互いの信頼感を高めながら働くことを可能にします。
ひいては、その結集力とお互いへの信頼感が組織を成長させていく原動力となるのです。
②ミッションステートメントでトラブル対応力などが向上
クラウド会計ソフトなど、オフィス業務を支援するサービスを提供しているA社もチームワーク重視の会社です。プロジェクトを進めるにあたっては、エンジニアやデザイナー、マーケティング担当者など、部門を横断したメンバーでチームを作り、業務に励んでいます。
A社では、チームワークを効果的に機能させるためにメンバー全員が向かうべき方向を決める「ミッションステートメント」を定めています。これにより、何かトラブルが起こっても、対応の仕方をめぐって意見が対立して仕事がなかなか進まないという事態には陥らず、仲間と力を合わせてトラブルの解決に取り組むことが可能となったそうです。
また、同じ目標を共有しているからこそ、フラットな目線で素直に意見を言い合うこともできます。A社では、全社員が社長に対しても臆することなく意見を言える環境が整っているそうです。風通しのいい環境で思ったことを率直に伝え合うことにより、プロジェクトを効率よく進めていくことができるのです。
また、ミッションステートメントをしっかりと定めているからこそ、チームメンバーはそれぞれのスキルをそこに向けて最大限に発揮することができます。これもチームワークの大きな利点と言えるでしょう。
③女性リーダーが率いる女性の工事チームが企業の成長を促す
建設会社のC社もチームワークを大切にしている企業です。ビルや道路などの建設は、何百人、何千人という人が関わる大規模な事業であるため、チームワークの必要性は群を抜いて高いと言えます。
そんな建築業界で、C社は女性を中心とした工事チームを作っています。これは、女性の現場監督や左官などのチームを作り、女性の採用や職場環境の改善などを積極的に行うための試みです。
建設会社は男性社員比率も高く、リーダーをつとめるのも男性が多いため、女性が意見を言いづらい環境にあります。しかし、企業として成長していくためには女性の活躍は必須。女性がリーダーをつとめる女性中心の工事チームが現場を牽引していくことで、女性の視点が活かされ、女性が活躍できる環境を迅速に整えていくことを可能にしています。
上記の事例の通り、チームワークを築いた企業は多様性やグローバル化といった時代の流れに適応でき、結果として生産性が上がります。一方で、チームワークを築くメリットは他にも存在します。
3. 仕事でチームワークを築き、向上させるメリット

チームワークがある職場では、分業や何かあったときのバックアップなどができるため生産性が上がります。そのほかにも、具体的には以下の4つのようなメリットが存在します。
チームワークを高めるメリット
- ・大きな目標が達成できる
- ・メンバーのモチベーション向上につながる
- ・組織の対応力が上がる
- ・情報共有が活発になる
それでは一つずつ、メリットについて詳しく説明していきます。
チームワークの向上が組織にもたらすメリット
■大きな目標が達成できる
前述したとおり、チームワークがうまく機能することによって得られる一番のメリットは、個人単位では実現不可能な大きな目標を達成できるという点です。
チームワークは、仕事を効率的に進めるのに役立ちます。同じ目標を達成するために全員が協力することで、個人の力を越えた成果を引き出すことができます。
また、チームワークを築くことで、立てる目標もより大きいものに設定することができるため、会社全体の成長にも寄与することができます。
■メンバーのモチベーション向上につながる
お互いの能力を評価・信頼する関係が築かれることで、メンバーのモチベーション向上につながります。
チームメンバーの仕事への満足度を高めたり、スキルを向上させたりするなど、個人に良い影響を及ぼすことも、チームワークを築く大きなメリットと言えます。
また、組織に対するメンバーのロイヤリティが向上し、離職率をおさえられるという利点もあるでしょう。
チームワークが良好な環境では、メンバー同士の信頼関係も築きやすくなります。
チームの結束力が高まったり、一体感が醸成されたりすることで、組織としてのパフォーマンスの最大化にもつながるでしょう。
■組織の対応力が上がる
チームワークによって、時代などの変化に柔軟に対応していくことが可能になります。
現在の変化の激しいビジネス環境に対応するために、その都度必要とされる能力をもった人を見極めて採用することには現実的に限界があります。
だからこそ、いまある人員でチームを組み、チームワークをうまく機能させることの重要性は高まっているのです。効果的な技術の進歩に伴い業務も高度化し続けていますが、この状況もチームワークで乗り越えることが可能です。
営業、開発、製造などといった様々な部門を横断してチームを組むことで情報を共有し、密にコミュニケーションを図ることによって、通常業務を滞らせることなく様々な課題に柔軟に対応できるようになります。
■情報共有が活発になる
チームワークのある職場では、情報共有が活発になります。
情報のリアルタイム化は、予測に基づく事業計画の立案を困難にすると同時に、迅速で柔軟な分析と決断を企業に迫ることになりました。ここでも、限りある経営資源を十分に活用し、少しでも多くの利益を生み出していくためには、やはりチームワークが欠かせません。
チームワークは、現在構築している組織構造をさらに強化するための方法・手段であることを理解して活用していくことが大切です。
チームワークがよい職場を作ろう
チームワークが高い組織では、生産性が高まるほかに様々なメリットがあることが分かりました。
お互いを尊重している職場では、意見を言っても対立するリスクを軽減できます。より多様な意見を共有することができれば、建設的な改善や要望の実現が可能になり、生産性がより高まります。
またチームワークがあればリアルタイムな情報共有が可能で、わからないことも気軽に質問できるため、自ら業務を進めていく能力を付けられます。
4. 仕事のチームワークを高める4つのポイント

チームワークには様々なメリットがあり、生産性が高まることが分かりました。それでは最後に、仕事のチームワークを高めるためにするべき4つのポイントについてお伝えします。具体的には以下の通りです。
仕事のチームワークを高める4つのポイント
- ①役割分担を決めておく
- ②目標を明確に設定する
- ③それぞれの業務を尊重する
- ④コミュニケーションをとる
①役割分担を決めておく
チームワークを高めるには、まずメンバーの役割を明確に決めることが重要です。
チームワークが機能する組織にするには、メンバーの強みや潜在能力を最大限引き出すことができるような役割を与えることが必要不可欠です。個々人が責任をもって業務に臨めるよう、それぞれの裁量を明確に決め、共有できるようにしましょう。
また、いくら優秀なチームメンバーを集めたとしても、そのメンバーをまとめ、目標に向けて正しい方向に導くためには、熱意のある優秀なリーダーの存在が不可欠です。
リーダーには、メンバーが働きやすい環境を整え、必要とあらば思い切った軌道修正を行える強いリーダーシップが期待されます。そのため、リーダーは常に「メンバー同士の協働が滞りなく行われているか」「共通の目標をブレずに共有できているか」を把握する必要があります。それができていない場合は、目標達成に向けて軌道修正をしなければなりません。
リーダーがその役割を十分に果たすことができれば、そのチームは大きな成果を得られるはずです。
②目標を明確に設定する
チームワークに必要なのは何よりもまず目標を共有することです。たとえば「部署の売り上げを30%上げる」「新規事業で顧客を100人増やす」といったように具体的な目標を共有する必要があります。
また、チーム共有の目標がブレるのを防ぐためには、最終目標だけではなく中間目標を定めるなどの段階を踏み、適宜チーム内で話し合いをすることで、進むべき方向を調整していくようにしましょう。
目標の共有がない場合、協力体制が築けずに馴れ合いになったり、イニシアチブ争いが激化してしまい、チームとしての統制がとれなくなることもあります。共通の目標を明確に持つことで、メンバーの自主的な協力を見込むこともできます。
③それぞれの業務を尊重する
メンバーの業務を尊重することもチームワークを高めることにつながります。チームワークでは自発性も大切ですが、メンバー同士がお互いを尊重する気持ちや協調性なしにはうまく機能しません。
自分の価値観に固執し、他のメンバーの価値観を受け入れることができない人がいると、チーム自体の仕事がストップしたり、共通の目標にブレが生じたりする危険性があります。
また、無理やりに役割を押し付けて受け身にさせてしまうチームワークでは、チームがもつ力を十分に発揮することができません。そのような状況に陥らないためにも、メンバー同士が協調し合い、お互いを認め合いながら、共通の目標のために力を尽くすことが必要です。
④コミュニケーションをとる
チームワークを最大限に発揮するためには、コミュニケーションをとりやすい環境にすることが非常に大切な要素になります。
時には上司と部下が同じチームに加わる場合もありますが、その上下関係を意識しすぎて萎縮してしまっては、チームワークを損ないます。
メンバーは、リーダーからの指示をただこなすだけでなく、時には気づいたことや、業務の改善につながりそうな提案を自ら言うようにしたいものです。
また、個々の仕事の進捗状況をメンバー同士で常に把握している状態にしておく必要があります。報告・連絡・相談を徹底することで、仲間のミスをカバーできたり、より高い成果を生み出すことができるようになります。
5. 職場のチームワークを築くマネジメントのポイント
以上、仕事におけるチームワークの大切さについてお伝えしてきました。組織のチームワークを築くには、各メンバーの意識とマネジメントが重要です。具体的には、以下の要素が重要になります。
- ・目標を共有して目線を合わせる
- ・適切なフィードバック
- ・情報をオープンにする
- ・平等な業務分配と評価を行う
- ・メンバーの役割を明確にする
チームワークを築く具体的な方法や取り組みについてはこちらで紹介しています。チームワークを築くために大切な3つのポイント
チームワークを築くために大切な3つのポイント6. まとめ
チームワークを築き、高めることで組織全体の生産性の向上につながります。すぐにチームワークを築くことは難しいですが、メンバーひとりひとりが意識することでチームワークを高めていくことができます。
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