建物管理の不可欠な要素であり、安全性の維持、資産価値の保全、居住・労働環境の快適さ、法的遵守など多くの側面に影響を与えるビルメンテナンス業務。
この記事では、ビルメンテナンス業務効率化のススメについて、必要性や方法、実際の事例をご紹介します。
ビルメンテナンス業務の課題と問題点
ビルメンテナンス業務には、いくつかの課題が存在しています。
作業の非効率性
メンテナンス業務の現場では、設備の点検と保守に多くの時間と労力が費やされます。
作業員は設備の問題を発見するために広範囲な点検を行い、これには多くの作業時間がかかります。また、必要のない部品の交換やメンテナンスが行われることもあり、これがコストを増大させる原因となります。
現場作業員の負担とリスク
ビルメンテナンスの現場作業員は、次のような負担とリスクに直面しています。
- 身体的な負担
- 設備の点検や修理作業は、しばしば体力を要するものであり、重い機器や工具の操作、高所での作業、狭い空間での作業などが含まれます。これにより、作業員の身体的な負担が高まり、労働災害のリスクが存在します。
- 安全リスク
- ビルメンテナンスの現場では、高所での作業や電気設備へのアクセスなど、さまざまな安全上のリスクが存在します。作業員はこれらのリスクに対処する必要があり、安全対策やトレーニングが欠かせません。
- 情報不足
- 作業員は設備の状態についての情報を限定的にしか持っていないことが多いです。問題が発生した際、適切な対処が難しいことがあります。また、必要な予備部品やツールが不足している場合もあり、作業の遅延を招くことがあります。
ビルメンテナンス業務を効率化する方法
ビルメンテナンス業務のDX化で業務効率化
ビルメンテナンス業務のDX化は、現代のビル管理において不可欠な要素であり、競争力の維持と持続可能なビル運用に向けた重要なステップです。
DX（デジタルトランスフォーメーション）とは、デジタル技術を社会に浸透させて、人々の生活をより良いものへと変革する（Transformする）ことを指します。
2022年に政府より発表された「デジタル田園都市国家構想」にもあるように、国としてもアナログ的な規制を洗い出し社会全体でのデジタル化を目指しています。
デジタル技術の活用により、より効率的で安全なビルメンテナンスプロセスを実現することで、ビル所有者や利用者にとって多くのメリットが生まれることが見込まれます。
ここでは、ビルメンテナンス業務のDX化の必要性について解説します。
- 効率性の向上 :
- DX化は、ビルメンテナンス業務のプロセスを自動化し、効率を向上させるための重要な手段です。デジタルツールやセンサーテクノロジーを活用することで、設備の監視、点検、保守作業のスケジューリングなどが迅速かつ正確に行えます。これにより、作業員の労力を削減し、リソース活用の最適化が可能となります。
- 予測保守の実現 :
- データ駆動型のDX化により、ビル内の設備やシステムの状態をリアルタイムでモニタリングできます。異常を早期に検知し、予測保守を実施することで、突発的な故障を減少させ、設備の寿命を延ばします。
- コスト削減 :
- ビルメンテナンス業務におけるDX化は、コスト削減のポテンシャルを提供します。自動化とデータ分析により、無駄な作業や予備部品の不必要な交換を防ぎ、効率的な予算配分が実現します。長期的には、適切なメンテナンス戦略に基づくコストの最適化が可能です。
- データ駆動の意思決定 :
- DX化により蓄積されたデータは、ビルメンテナンス業務の意思決定に貴重な情報を提供します。データ分析に基づいた洞察力により、メンテナンススケジュールの最適化、予算配分の最適化、設備のアップグレードの優先順位付けなどが行えます。
- 安全性の向上 :
- DX化は、ビルメンテナンス業務の現場作業員の安全性を向上させる要因でもあります。リアルタイムデータと遠隔監視システムにより、危険な状況や緊急事態への対応が迅速に行えます。作業員は高リスクなタスクを最小限に抑え、より安全な環境で作業できます。
- 環境への貢献 :
- DX化により、エネルギー効率を向上させ、環境への負荷を軽減することが可能です。エネルギー消費の最適化や再生可能エネルギーの利用など、環境に優しいビルメンテナンス戦略を推進できます。
外部の専門家やサービスの活用で業務効率化
- アウトソーシングの利用 :
- アウトソーシングは、ビルメンテナンス業務の効率化において非常に有用です。以下は、アウトソーシングの利用についての詳細です。
- 特定のタスクの外部委託 :
- アウトソーシングでは、特定のビルメンテナンスタスクを外部の専門業者やサービスプロバイダーに委託します。例えば、エレベーターの保守、エアコンシステムの点検、清掃業務など、特定の作業に対して専門的な知識とスキルを持つ業者が担当します。
- コスト効率 :
- アウトソーシングにより、建物所有者や管理者は従業員の雇用や設備の運用に関連するコストを削減できます。外部のプロバイダーは、適切なリソースを持ち、効率的なプロセスを確立しており、コスト競争力のある価格でサービスを提供します。
- スペシャリストの専門知識 :
- アウトソーシングパートナーは、特定の分野での専門知識を持っています。これにより、高度な技術や設備の専門家が必要な場合でも、適切なサポートを受けることができます。
- リスクの分散 :
- アウトソーシングは、ビルメンテナンス業務におけるリスクを分散させる助けとなります。業務の専門家が問題の解決に当たり、設備の保守と点検を行うため、設備故障や事故のリスクが低減します。
コンサルティングサービスの導入で業務効率化
コンサルティングサービスの導入は、ビルメンテナンス戦略の最適化と業績向上に向けて非常に有益です。以下のような内容で、プロフェッショナルなアドバイスと戦略の策定を通じてビルメンテナンスプロセスを向上させます。
- 専門家の助言 :
- コンサルティング会社は、ビルメンテナンスの分野で経験豊富な専門家から構成されています。所属しているコンサルタントは、ビルメンテナンス業務に関する深い知識と専門的な洞察を持ち、最善の戦略を提供します。
彼らは業界の最新のトレンドやベストプラクティスを把握し、最適なアプローチを見つけるのに役立ちます。
- プロセスの評価と改善 :
- コンサルティング会社は、ビルメンテナンスプロセスを詳細に評価し、効率性を向上させるための改善点を特定します。無駄な作業、不要なコスト、適切でないスケジュールなどの問題を明らかにし、改善策を提案します。
- システムの導入支援 :
- コンサルタントは、新しいシステムやソフトウェアの導入に関してもアドバイスやサポートをしてくれるでしょう。適切なシステムの選定から実装までの段階で、ビルメンテナンス業務に適したソリューションを提供します。
- コスト削減とROIの最大化 :
- コンサルティングサービスは、コスト削減と投資利益率（ROI）の最大化を追求します。効果的な戦略や施策を策定し、長期的な収益性を確保するための計画を立案します。これにより、適切な投資を行いながらコストを抑制し、経済的な効果を最大化します。
cyzenでビルメンテナンス業務の効率化を
ビルメンテナンス業務は、大きく分けて三つの業務があります。
- 1.機械メンテナンス
- 2.清掃業務
- 3.警備業務
cyzenでは、各メンテナンス業務に関して、IT化の事例がありますので、以下にご紹介します。
メンテナンス業務をIT化する上で大切なことは、現場に使い易いツールを利用することです。外回りの業務現場は、忙しく1日に複数件の訪問があります。その業務の合間で報告を簡潔に効率化することで、全体業務の効率化が期待できます。
1.機械メンテナンスのcyzen導入事例
日本設備パートナーズ株式会社様にcyzenをご導入いただいております。
【導入事例の詳細記事はこちらから】ビルメンテナンスの効率化事例！ITツール導入で簡単DX
日本設備パートナーズ株式会社様は、消防設備の点検業務や回収をメインとしたビルメンテナンスの業務を行っています。
「ビルメンテナンスの全てを網羅できる企業」を目指し、数年前より事業拡大が進んでおります。
「今までシステム内にある物件情報はPCでアクセスするしか方法がなく、現場で物件情報を確認することが困難でした。そのため、現場作業の注意点（誰に電話をしたらいいか？鍵はどうやって開けるのか？）といった細かい情報は、電話をして事務員に確認していました。
事務員もシステムを確認し、再度作業員に電話して伝える、という形で情報共有が行われていました。現場の活動もそこでいったん止まってしまいますし、事務員の負担にもなります。現場で情報を確認できるようにしたい、というのが大きな課題でした。」
「cyzen導入後、管理する側としては従業員が今どこにいるのか把握できるようになりました。今まで報告業務を社員に課していなかったため、動きが不透明な部分がありましたが、GPS情報の活用による「見える化」は管理者側のメリットになると思います。」
「現場側では、自分のスケジュールや次の現場へのルート、現場での注意点などがリアルタイムに確認できるメリットがあります。
導入する際、ただユーザーの位置情報を追うだけのシステムだと嫌がられてしまいます。cyzenはルート検索や物件の情報の見やすさなど、現場社員にとって便利な機能が数多くあるため、そういった部分で導入もしやすいと判断しました。」
このように、cyzenを日本設備パートナーズ株式会社様に設備メンテナンス業務でご利用いただき、効率化を実現しております。
2.清掃業務のcyzen導入事例
Wakrak株式会社様にcyzenをご導入いただいております。
【導入事例の詳細記事はこちらから】マンション清掃をITで効率化！作業時間や作業報告の作成～写真チェックの工数半減！
Wakrak株式会社は、『いつでも、どこでも なんでも、だれでも好きなことができる世界をつくる』というビジョンを基に、副業バイトアプリ『ワクラク』やマンション清掃事業『クリサポ』を運営しています。クリサポ事業部 課長 室屋秀敏様にお話を伺いました。
「普通の清掃会社は報告書を手書きで作成するところがほとんどです。少し面倒臭さがあるため、1週間分まとめて作成するスタイルをとっている会社もあります。これだとリアルタイムな清掃記録が共有されず、内容の正しさにも疑問符がついてしまいます。」
「基本報告は社員が写真内容を含めてチェックするんですが、手間が結構かかっている。スプレッドシートのリンクをいちいちクリックしないと現場の写真を確認できないですし、そもそもの共有にも時間がかかっていました。多い時だと一日に50件の報告が上がるので、2人で分担しても2時間はかかっていました。」
「cyzenに切り替わったことで、報告書が早く作れて、早く共有できるっていうメリットを非常に大きく感じています。cyzenを最初から使っている人は別に何の問題もなく使ってますし、Googleフォームから変えた人に関しても「逆に悪くなった、やりづらくなった」みたいな話は特段聞いてないですね。
うちのメンバーからは「手間がものすごいなくなった」という声が大きいです。
一気通貫で報告内容が見れるので、写真をチェックして勤怠を付ける時間が大幅に短縮されてますね。もう本当に、メンバーの感覚ベースではめちゃめちゃ楽です。確実に写真チェックの作業自体は半分以下の時間、工数でできるようになっています。」
このように、Wakrak株式会社様に、清掃業務でcyzenを導入いただき、効率化の成果をあげていただいております。
3.警備業務でのcyzen導入事例
東洋テック姫路株式会社様に cyzenをご導入いただいております。
【導入事例の詳細記事はこちらから】緊急通知先に近く最適な警備員を把握、出勤中の状況も確認しながらサポート！
東洋テック姫路株式会社は、「人・街・未来をまもる」東洋テックグループの一員として、安心で快適な社会の実現に貢献するための事業展開をしています。
「緊急出動を業務としている当社としては、「駆けつけ要員の現在地を即座に把握する」ということは極めて重要です。それにより緊急対応までの時間が変わってしまうので、緊急出動が必要になった際に、「出動先に近く、対応可能な要員」を即座に割り当てることが重要でした。」
「cyzen導入後は、従業員の位置補足が容易にできるようになり、緊急出動の際の対応スピードが上がりました。また、今まで行っていた活動報告をcyzenで行うようにしたため、cyzenで一元的に報告書履歴を閲覧できるようになり、従業員の行動履歴を詳細に分析ができるようになりました。
このように、東洋テック姫路株式会社様にcyzen を導入いただき、IT化による効率化の成果をあげていただいております。
建物がある限り業務が必ず発生するビルメンテナンス業界。効率化に取り組んでおくことにより、人材不足のカバーや業務負荷軽減にも大きく貢献します。この機会に是非取り組んでみてはいかがでしょうか。
